脳死状態だった母の死の経験から入会

遺族アンケート

73歳妻/看取った人・夫/福岡県/2022年回答

私と妻とリビング・ウイルの出逢いは、今から5年前のことで、母の死(脳死状態で4年半)、その大変さを友人の医師に話したところ、彼は何にも言わずにリビング・ウイルのカードを差し出し説明! 話を聞いた私と妻は子どもたちと相談し、即入会!! 

それから5年! 令和4年5月4日午前4時半、妙な胸騒ぎで目を覚まし妻に声をかけるが返事はなく。体を揺すっても反応がなく、真っ白になった頭で119! 救急隊の指導で人工呼吸! 病院に搬送‼ 検査の結果、小脳出血で手術を施しても元には戻らず脳死状態が続くだけになることを告知! そこで子どもたちと話し合い医師にリビング・ウイルのカードを出し「これでお願いしたいのですが?」と切り出すと「ハイ、わかりました。ひどい痛みがある時は痛みを取り、苦しむような時には苦しまないような処置だけはしましょうネ」の思いやりのある言葉に感動! 医師にもリビング・ウイルの情報は広まっていることに気づき、へたな説明をしなくて済んだことはありがたかったし、ぜひ! 友人、知人にもすすめようと思ったものでした。それから14時間後に妻は73年の人生の幕をおろして浄土へと旅立ちました。

“人生の終焉と連れて行かれし我が妻は 語る事なく眠りおり”

協会からのコメント

まさにリビング・ウイルカードの意味と意義がいかんなく発揮された「看取りのエピソード」ですね。

4年半に及ぶ脳死状態の母の介護経験があったからこそ重い決断ができたのだと思います。脳死状態の方は、触れれば温かく今にも目を覚ますのではないかと思え、「決断」をするのが難しいことが多いように感じます。夫婦2人とも、そうした経験があり、それを聞いていた子どもたちも「決断」できたのでしょう。

医師にリビング・ウイルも了解され痛みは取ると約束されたことで、どれほど安堵し優しい気持ちで看取り、旅立ちを見届けることができたことでしょう。“人生の終焉と連れて行かれし我が妻は 語る事なく眠りおり” の歌心を、人生にはこんな最期の決断が必要なこともあるのだと、貴重なメッセージとして受け止めさせていただきます。

 

ご家族の皆様のお気持ちが心穏やかに整っていきますようにと、奥様のご冥福と共に、お祈りしております。