手術中、20分で迫られた家族の決断

遺族アンケート

90歳母/看取った人・娘/神奈川/2022年回答

2017年腸捻転を繰り返していた父がとうとう施術中に腸に穴があく事態になってしまい、手術をするか否かを20分で決めるよう医師から告げられました。ただ手術をしなければ3日ほどで亡くなるとのことで急きょ手術をお願いしました。90歳を越えての大手術でしたがおかげさまでどうにか成功し、父は人工肛門になりました。

術後苦しかったようで、我慢強かった父が何度も「死にたい」と言い、手術したことが良かったのか悩みました。

その後ある程度回復し、少しだけですが家に帰れたり、家族と最期の時間を過ごせ、父の場合は結果的には良かったかもしれないと思えるようになりましたが、今でもあの時点での決断が正しかったかどうか結論は出ていません。この経験から母は家族に、しかも短時間でこのような決断をさせることは酷だと感じたようで、尊厳死協会に入会しました。

父は最期は特養に入りましたが、家族の希望として「痛みはとってほしいが、これ以上の医療的処置は望まない」と伝えたにもかかわらず、施設側は入院させたがり、病院と施設の間にはさまり困惑することもありました。担当してくださった医師が強く施設側に訴えてくださって最期は施設で看取っていただきました。

母の場合は、担当医の先生、施設長もよく母の意思を受け入れてくださって、施設で穏やかに最期を迎えることができ感謝しております。

協会からのコメント

「手術中の20分での決断」に、今でも「あれで良かったのか」と、迷い悩まれるのは自然なことです。

でも、その時、決断したことが良かったのです。決断にかけた時間や決断した内容の正解・不正解が問題ではありません。決断とは後ろを断つこと。その時! ご自分の中の英知をこめて決めたこと、自分にしかできなかったことに自信をもってください。

「小さな灯台」はあなたが決断したことを支持します。

決断したあとは、いつでも、その結果を引き受け「では、どうするか」とだけ考えて、前に前に進んでいきましょう。

遺される人のためを考えてリビング・ウイルという意思表明をするために協会に入会手続きをして、希望通りの最期を迎えたお母様のご冥福をお祈りするとともに、ご家族の皆様の健康を心から願っております。