尊厳死の難しさは医師に法的リスクがあること

遺族アンケート

89歳母/看取った人・息子/東京都/2022年回答

私の母の尊厳死に至る経緯は以下のとおりです。

私は、母が2022年2月14日に入院した3日後に、担当医と面談いたしました。その際に、会員証を示し母が尊厳死協会の会員であることをお伝えしました。私の母は入院当時89歳で、悪性リンパ腫の抗がん剤治療に耐えられるだけの体力を温存しておりませんでした。ご飯を食べることができない状態です。入院して7日後から抗がん剤投与の治療が始まりましたが、この治療により体力を著しく消耗し食事を取る状態まで体力を回復することができず点滴頼りに生きている状態でした。

入院して1か月経った3月中旬ごろ、先生からご説明があり「鼻から管を通して胃に直接栄養を送り体力を温存して抗がん剤治療を続けますか」と問われ、私は「それで最終的に病気を完治することができますか」と問うたところ「それは無理です。延命しても、2〜3か月です」との回答をいただきました。

私は、先生に、母は従前お伝えしたとおり尊厳死を望んでおり延命は望んでない旨お伝えしたところ、先生から「この先、臨終を迎える際、呼吸を維持するための気管挿管等を望まれますか?」と問われたので、お断りしました。その際、先生から「医師としては最善を尽くす義務がありますが、ご本人が尊厳死をご希望されており、ご親族の方々のご同意があるということであれば、そのようにさせていただきます」とのご回答をいただきました。

尊厳死の難しさは、医師は、法律上、患者を救うため、ありとあらゆる施術を施す義務を負っており、患者および患者の親族の同意があったからといって施術をしなかった場合、後日、法的責任を問われるリスクを負っているため、その線引きと判断は非常に難しいと思います。

本件では、私が弁護士であり、私が尊厳死について十分に理解していることをお伝えしたことから、先生としても法的リスクを回避できると考え、ご決断いただいたのではないかと考えております。
いずれにいたしましても、私の母の尊厳死につきましては、貴協会に入会していたことが
かなりの重要度をもっており、心から感謝申し上げる次第であります。ありがとうございました。

協会からのコメント

ご投稿いただいた方が弁護士さんということで、尊厳死を選択する際の医師と家族の立場の「意思決定のプロセス」がよく理解できる「看取りのエピソード」です。多くの人の参考にしていただけると思い、ありのままをご紹介させていただきます。