役割が違う救急病院とホスピス
【遺族アンケート】
73歳姉/看取った人・妹/滋賀県/2023年回答
救急病院と本人の意志とは相反するのかな? と思いました。
- 救急病院へ搬送され1か月間は入院。当日から緩和治療のみを要望したが……胆管へ直接管を通し、外部へ胆汁を出す処置をされる。姉の両手に手袋をはめベッドにくくることを、承諸書にサインするよう求められる。
- リビング・ウイルを提示していたからか、食事配膳を目の前に、サポートが4人部屋の最後となり、1時間半後となり、ますます食欲が落ちる(1週間続いた! と)。
- 同室患者からコロナ感染者が1名出る。姉のベッド四方面をブルーカーテンで四六時中仕切られる。
- 看護師の言葉遣いもきつくなる。家族には「本人はせん妄が出てきているので言っていることを真に受けないでください」とのこと。
- このような最期を生き地獄の中で(頭は鮮明であった。亡くなる前日まで)、1か月間面会も姿をお互いに確認することもできず、生きる気力を病院内に居ながら削がれ続けたと推測。(※2〜4は転院後に本人から家族が聞いたこと)
- 要望どおりホスピスへの転院は、姉が息を引き取る6日前。
- ホスピスでは、食事は温かいうちにいただけてお風呂も入れていただき、亡くなる前日まで元気な口調で普段通りに会話も、食事も少量ですが自身の口から喜んでいただいていました。
- 最後の1日も緩和治療を担当医に行っていただき、このホスピス病棟では本人も家族も満足のいく最後を迎えることができました。リビング・ウイルの会員であったからこそだと痛感しております。尊厳死協会の皆様、ありがとうございました。 合掌
【協会からのコメント】
救急病院とホスピスでは役割が違います。救急病院は、生死を問われ、切迫しているため、聞いている言葉もきつく感じられたと思います。今は、手術、治療も本人または家族の同意がないと行えません。ホスピスにもっと早い段階で入所できていたら……と考えさせられました。ともあれホスピスで穏やかな時間を過ごし、最期を迎えられたと安堵しました。
医療機関での役割の違いがあり、救急医療は生命の維持向上、積極的治療が優先されます。そのためご本人の意思が反映できにくい状況になってしまうのは致し方ないことという社会一般の理解も必要だと思います。貴重な経験をご紹介いただきありがとうございます。ご冥福をお祈りしております。