「尊厳死の選択」という希望が家族の指針に
【遺族アンケート】
73歳姉/看取った人・妹/神奈川県/2023年回答
亡くなるまでご担当していただいた皆様には感謝しかありません。病院も、ケアをしてくださった在宅看護師の方々にも……。
手術を勧められましたが、本人の希望で受けることを断り続け、それぞれのお立場で困ったことも多かったことと拝察しています。
妹の私には、本人の気持ちを推測するしかありませんが「尊厳死という選択がある」との希望で過ごしていたのだろうと考えており、いろいろな決断を迫られる機会に家族として一つの大きな指針になりました。ありがとうございました。
どの選択が正しかったのか正解はないと思っております。
ただ重要なのは「本人の意志」ではないかな、と思います。「死生観」はそれぞれ違いますし、姉妹であっても「手術は受けるべきだ」とは言えませんでした。精一杯、付き添い、寄り添いました。
どんどん病状が悪化し、結局、助けてくださるのは医師の皆様でした。痛みを和らげ、遂に手の施しようがなくなった時には、最後を緩和して看取ってくださる施設を紹介してくださいました。
いろいろな法律もある中で、現場の先生方は一生懸命に取り組んでくださいました。医師の皆様に「リビング・ウイル」をお伝えすることはありませんでしたが、ずいぶん前と比べると、だいぶ現場の先生方も「患者の意志」を聞いてくださる傾向にあるのかな、と感じることも多くありました。先生方にご迷惑がかかることのないように祈るばかりです。
重ねまして尊厳死協会様には大変お世話になりましたこと心より御礼申し上げます。
【協会からのコメント】
医師から手術を勧められ、それを断るには、それなりの覚悟と強い意志をもって生きてこられたと思います。「それを尊重するのは自然のことで特別なことではありません」とお伝えしたいところですが、まだまだ受け入れがたく嫌な思いをしたりすることがあるのも現実です。
病状がどんどん悪化していくことは、ご本人もつらいですが、周りで寄り添っている方たちも大変だったと思います。
ご自身の意思を大事にした医療者(リビング・ウイル受容医師)に巡り合えたこと、理解していただけたことは、ご本人の努力もあったことでしょう。ご本人は満ち足りた思いで最期を迎えられたと思います。ご冥福を心よりお祈りいたします。