自分で食事をとれなくなったらもういい
【遺族アンケート】
88歳父/看取った人・娘/神奈川県/2023年回答
施設の職員も、嘱託医も、高齢者には慣れていることもあり、よく受け入れてくれたと思います。
最終的には老衰ですが、コロナ感染により経口での食事が(自分で)困難になり、回復後も食欲が落ちたため衰弱、栄養状態が悪い中、気力も落ちていきました。
かねてより「自分で食事をとれなくなったらもういい、痛いのは絶対嫌だ、寿命が縮まっても良いから痛みだけは除いて」と聞いていましたので、点滴の栄養補給等を示されても迷うことなく断ることができて自分のベッドで逝去できました。コロナ禍で十分に面会できなかったことが悔しいです。
施設は制限内で会うことができたけれど、一度入院した病院は1か月間全く会うことができず電話で様子を伺うのみ。コロナ自体からは回復していたのに、その後の発熱衰弱の心配で入院した8~9月の1か月が、父らしく過ごせていたかどうかわからず悔やまれます。
点滴なしで生活できるようになったということで退院許可がおりたのですが、1か月の入院で自立歩行ができなくなり、寝たきりになって戻ってきました。退院後2週間で亡くなってしまいましたので、入院期間の40日間が本当にもったいなかったと思います。大腸がん切除で8年間オストメイト注)でありました。
ふたり暮らしの母を亡くして2年経った頃、認知症が激しくなり施設へ入りましたが、コロナ禍前までは、娘である私が毎日のように会えるようになったことで症状もよくなっていました。
とても楽しく過ごしていたので、コロナさえなければきっとあのままもっとたくさん話ができたのだろうと思います。施設に入ってからは、こちらに住民票を移したので、リビング・ウイルの冊子も届き、私も毎回読ませていただきました。最近友人の訃報も多くなり、自分の最期も考えるようになりました。いずれまた私も会員となろうかと思います。
編集部注
注)オストメイト
さまざまな病気や事故などにより、お腹に排泄のための「ストーマ(人工肛門・ 人工膀胱)」を造設した人(厚生労働省)。
【協会からのコメント】
コロナ感染から転がるように状態が変わってしまったことは残念な出来事です。こんな経験をされた方が多かったことでしょう。コロナという、世界中誰も体験したことのない未曽有の事態で、世界中で対策が模索された中での「看取りのエピソード」もありのままに「小さな灯台」に記録として残しておきましょう。
コロナ前の楽しい大事な思い出を大切にして、くれぐれもご自愛ください。ご冥福をお祈りしております。