安楽死も「あり」と感じる
【遺族アンケート】
99歳母/看取った人・息子/2023年回答
母は外出が殊の外好きで、よく私と外出していましたが、コロナで外出ができなくなったことで急速に筋力などの衰えが目立ち、死に至りました。
コロナがなければまだ存命であったと思います。昨年始めからの姿を見ると「安楽死」注)というのも「あり」と感じています。15年の長きに渡り面倒を見た私としては残念な思いで一杯です。言い尽くせぬ思いです。
【協会からのコメント】
コロナ禍での外出規制。施設もさることながら、在宅でも外に出られなくなったり、活動の場がなくなったりしたことで、特に高齢者は筋力低下、衰弱、死に至ったという事例が多く聞かれました。
コロナさえなければとの思いも、さまざまな立場の方が感じながら哀しみを封じ込めておられると察しています。また衰弱していく日々の変化を、日常の暮らしの中で家族が見つめることの過酷さ、「安楽死注)というのもありと感じています」という感想も貴重な「看取りのエピソード」だと思います。
「15年の長きに渡り面倒を見た私としては残念な思いで一杯です」というお言葉に着目してみました。
99歳というご高齢まで、お母様の暮らしを支えてこられたこと、十分です。人の死は決して年齢で評価できないものであることを、これも承知した上で、「十分です。立派でした。これからはご自分のことだけ考えて良いのです」と言ってあげる存在が必要な気がします。
「小さな灯台」が、その役割を果たせたら良いと願います。
誰にでもあてはまることではありませんが、「コロナさえなければ」という思いから「コロナのおかげで思い切れた」という心境に昇華される日がくることを祈念しております。どうぞ【小さな灯台・情報BOX】の「グリーフケア―大切な人を亡くした哀しみを癒すために」の情報も参考にしてみてください。
編集部注)
▶「安楽死」と尊厳死の違い
尊厳死は、人生の最終段階において延命措置を断り自然な死を迎えることです。これに対し、安楽死は、耐え難い苦痛を持つ人の要請により、医師など第三者が直接薬物を投与、あるいは医師が処方した致死薬を患者自身が体内に入れたことによる死を言います。どちらも「本人の意思による」という共通項はありますが、「命を積極的に断つ行為」の有無が決定的に違います。安楽死は日本では一般的に認められていませんし、協会も安楽死を支持していません(尊厳死協会HPより)。
弁護士の渥美雅子先生が「小さな灯台」に寄せられた投稿「安楽死は許されるのか?
~弁護士の立場から「命」を考える~」をぜひご参照ください。
https://songenshi-kyokai.or.jp/lighthouse/archives/2892