母は今、献体という最後の務めを果たしています
【遺族アンケート】
(90歳母/看取った人・子/栃木県/2023年回答)
延命治療は行わないという本人の意志を、私たち家族と医師、看護師がきちんと理解し認識していたことから、最後に入院した際も点滴も一切行わず、本人も苦しまずに亡くなりました。
特に医師は、訪問診療から継続して母を診療しており、末期に私が「水分だけでも点滴をした方が……」と言ったところ、逆に本人が苦しむことになるとの判断をしてくださいました。
母は意識のしっかりしていた時期に、医師、看護師、友人、兄弟、そして私たち家族に、しっかりと別れの挨拶と感謝の言葉を伝えてくれました。
これも尊厳死協会に入会していたおかげと感じています。また、入院していた診療所が、コロナ禍でありながら、面会や付き添いを許してくださったことも感謝しています(看護部長のお力とのことです)。母は今、献体※)のため、最後の務めを果たしています。
※編集部注)
【情報BOX】「リビング・ウイル」と「献体」知っていますか? 話していますか? をご参照ください
【協会からのコメント】
「ご本人の意思をご家族・医療者が理解し尊重するというモデル」となる「看取りのエピソード」です。
本人の意思が明確であることが、何より家族・医療者のよりどころになるということを、多くの皆様に知っていただきたいと願います。
延命治療をしないと決心する。その決心を尊厳死協会に入会するという行動で「形」にして見せ、「別れの挨拶と感謝の言葉を伝える」ことで、家族・医療者を「死に追いやってしまったのでは?」という罪悪感から遠ざけるだけでなく、救いにもなり、お互いを支え合う力にもなっています。
さらに、献体という意思も「最後の務めを果たしています」という表現で受け容れておられるご家族に心からの敬意を捧げます。
死に逝く人の「覚悟」のありようを、教えていただきました。
自分の意思を尊重してもらうためには、理解のある医療者を自ら求める努力も必要です。尊厳死協会ではリビング・ウイル受容協力医師のご紹介をしています。このリストのさらなる充実にも鋭意努力してまいります。会員の皆様のご協力もよろしくお願いいたします。