早くあちらの世界に行きたい
遺族アンケート
72歳夫/看取った人・妻/鹿児島県/2024年回答
本人は「自分はもうこの世ですることがないから早くあちらの世界へ行きたい」とドクターにも伝えてました。亡くなる前日まで意識もしっかりしていましたが、がんが肺へ転移していたため呼吸が苦しそうで、早くページを閉じたいとマスクをはずしたりしていました。迎えにきていた両親(10年前に亡くなっている)の方をじーっと見つめ、正面に顔を戻した時、魂が抜けて天に召されました。あっぱれな最後でした。
大学病院のように大きな病院は30分の検査をするのにも3時間くらいかかり、本当は鹿児島の友人の病院へ転院する予定で受け入れ先の病院や飛行機の手配もすんでいましたが、病状悪化でかないませんでした。
がんが骨まで転移し、腰が痛いと言い始め、いろいろな整体院や酸素カプセルとか通いましたが効果はありませんでした。最初病院では脊柱管狭窄と言われ、検査もいいかげんでした。
病院の縦割り体制ではがんの転移の発見は遅くなると思います。こういう日本の病院の縦割りな検査のあり方は患者側に立っていないと思います。
協会からのコメント
「あちらの世界に早く行きたい」と訴えられる時のご家族のつらい気持ちが切実に伝わる「看取りのエピソード」です。
ここに「緩和ケア医師やホスピス施設がもっと増えてほしい」という多くの人の希望が託されていると思います。つらい経験を投稿していただき本当にありがとうございます。
一人ひとりの一つ一つの経験は無力でも、こうして「小さな灯台」でその声を集めた事実の集積を「日本にもっと緩和ケア普及とホスピスを増やそう!」と、求める力にしていきましょう。尊厳死協会も、ホスピスや緩和ケアはもっとあるべきと訴求し続けています。2025年7月号会報に関連記事がありますのでぜひご参照ください。
なお、病院を転院されるご予定だったとのこと。病院にはその種類によってそれぞれ役割があることをぜひ皆様に知っておいていただきたいと思います。これについては【情報BOX】病院によって役割が違うの? 開業医師と病院の医師は何が違うの?をご参照ください。