失語症になってもリビング・ウイルで思いを伝えられる
遺族アンケート
90歳母/看取った人・娘/兵庫県/2024年回答
母は11年前に脳梗塞による失語症となり、自分の思いを伝えることがなかなか難しい状態でした。
今年になって急に体調が悪化し、3月に入院したのですが、間もなく先生から終末期医療に関する希望を聞かれました。
その時にリビング・ウイル会員証を持っていることを伝え、宣言書を読み上げました。先生の説明をお聞きし、夫とも相談して(終末期医療の)希望する項目を選択しました。
実は入院中、何度もこれでいいのかと迷って先生に相談したのですが、母が書いた尊厳死協会の希望表明書の内容を思い出し「なるべく本人が苦しい、痛い思いをしないようにしてください」と伝えました。先生には、母だけでなく家族の気持ちにも寄り添った医療をしていただき、本当に感謝しています。看護師や事務の方々もとても親切で、温かく接してくださいました。
また、リビング・ウイルカードがあったおかげで「これは母の意志だから尊重するべきだ」と良い意味で割り切ることができました。病院側も、リビング・ウイルを十分尊重してくださいました。私も、遺された家族を悩ませないために、(エンディングノートに加えて)リビング・ウイルを検討したいと思います。
協会からのコメント
意思はあっても、伝えることができなくなるのは“認知症”だけではありません。脳梗塞の後遺症等その他の病気でも、失語症になる可能性は、いつでも、誰にでもあります。
失語症で意思を伝えることが難しくなっても、以前からのリビング・ウイルが、ご家族と医療者の指針となり、迷うことなくご本人に寄り添うことができたと思います。リビング・ウイルを持つ意義を改めて教えていただきました。ご冥福をお祈りいたします。

