私と同じ考えをもった先生と人生最期にお会いできることを願っています
遺族アンケート
90歳夫/看取った人・妻/埼玉県
救急車で病院に入院して1か月半後、療養型病院に転院致しました。口から食事がとれない状態でしたので、会員証をお見せして、院長先生に2時間近くお話を聞いていただきました。尊厳死もご理解いただきました。転院から9日後天国へ旅立ちました。なぜ転院しなければと疑問は残りましたが、今は主人を見送ることができ、ホッとした気持ちを一人でかみしめております。さて、次は私の番です。私と同じ考えを持った先生と人生最後にお会いできることを願っています。
協会からのコメント
救急搬送先は一般病院で入院治療。その後、療養型病院へ。転院は病院の機能分担として、ルールにのっとった適切な対応だったと思います。2時間かけてリビング・ウイルについて理解を求めた奥様も立派です。それを誠実に聞いて、療養に生かしてくださった院長先生も立派でした。「口から食べられなくなった」その時にどうするか対話をし、ご家族の気持ちを聴く姿勢をもった療養型病院だったからこそ(これが急性期病院だととてもその余裕がない)の良い巡り合いだったと思います。ご夫婦の間で考えられたリビング・ウイルを人生最期にかなえられ何よりでしたね。
今度はご自分の場合の準備ですね。まずは、地域包括支援センターに相談に出向きましょう。そして、看取りまでお願いできるリビング・ウイル受容協力医師をかかりつけ医として決めたいと申し出ます。毎月1回、定期的に健康管理受診しておきましょう。ケアマネジャーさんも決めます。定期受診した時「救急搬送されることなく家で最期まで過ごしたい」とケアマネジャーさんとかかりつけ医の両方に、その意思を繰り返し伝えます。介護度の変化もケアマネジャーさんがフォローしてくれます。介護保険制度を活用した在宅療養介護ケア体制をフルに整えてほしいと意思表明しましょう。ご自分と同じ考えを持った医師との出会いは、願うだけではなく、言葉にして、手配・実行することで実現することができますよ。
病院には機能的に役割分担があります。俗に「風邪でも大学病院にかかりたがる」患者さんがいる一方で、むしろ検査体制のある病院への適切な転院なのに「かかりつけ医を信頼していたのに、見放された」と、開業医師の対応を誤解して批判する患者さんもいます。まだまだ、急性期、慢性期、療養型等、病院の役割分担機能の知識がうまく人々に浸透していない実情があるのは、残念なことです。【情報BOX】に、病院と医師の機能分担について情報を整理してみました。よろしければ、ご確認ください。