コロナで面会できず、携帯電話が夫との唯一の会話の手段でした
遺族アンケート
86歳夫/看取った人・妻/愛知県/2021年回答
末期腎不全で約7年、透析治療をしていた。前立腺ガンで入院し、死亡前1年近く自立歩行もできず3食栄養ドリンクのみの生活だった。本人も家族も透析の中止をお願いしたが、医師には人命を助けるのが使命だからと断られた。尊厳死協会にも電話で相談したが中止は無理との回答。最後は肺炎で死亡した。コロナで面会もできず携帯電話が夫との唯一の会話の手段だった。病院から最期の時、連絡があった。夫は酸素マスクで話すことはできなかったが、まだ温かい手を握り、別れの挨拶を話した時、ひとすじの涙が流れた。夫は私の悲しみを和らげるため1年以上がんばってくれたと今は感謝の思いで暮らしている。私ども二人で同時に入会し、今回の夫の病院、医師も理解してくださり感謝している。「透析」中止は難しい問題と思った。「透析の問題」これからも検討していただきたい。私も尊厳死協会に入会しているので、安心して最期を迎えたい。乱筆乱文お許しください。日本の保険医療に感謝し、医療従事者の皆様に敬意と感謝の思いは尽きません。
協会からのコメント
自立歩行できず食事は栄養ドリンクという状態が、本人と家族にとって苦痛であり、コロナで面会がままならなかったのはつらいことだったと思います。携帯電話で会話ができた、最期は手を握り感謝と共に別れを伝えることができたとのこと、病院側の精いっぱいの配慮を感じます。食べさせることも、何もできなかったと多くの人は悔やまれますが「携帯電話で声をかけたら返事がある。応答してくれる人がいる」ということは、立派なケアです。それも家族だからこそできる最高のケアです。気遣ってくれる人がいるだけで人は癒やされ、安心を得ることができるのですから。ケアの幅広さ、多様さ、豊かさを、多くの人々に知ってほしい「看取りのエピソード」です。複雑な想いの中でもご投稿いただけたこと深く感謝申し上げます。
「人工透析の中断」は難しい問題だと思います。これからの課題ですね。「小さな灯台」でも、皆様と共に学び、考え続けていきたいテーマです。