「何かしてほしいことは?」と聞くと「殺して」と

遺族アンケート

82歳夫/看取った人・妻/京都府/2021年回答

交通事故で、頚髄損傷となり長い間不自由な生活をしてまいりました。本人は常々、年寄りで自分が判断できるなら安楽死を認めてほしいと切望しておりました(回復の見込みがない)。「何かしてほしいことは?」と聞くと「殺して」と常々言っていました。自分も含めてですが、緊急に入院した時カードは役に立つのかが一番の心配です。カードを提出していない病院の時は特に。苦しんでおられる方の力になってほしい……切望です。

協会からのコメント

「尊厳死協会に登録してリビング・ウイルカードを携帯する」という決断をされた方の意思は、どんな場合にも尊重される医療環境にしていかなくてはなりません。会員の皆様と共に「小さな灯台」が全力を尽くすべき課題です。

一方で、病気や事故や天災は、年齢・性別・社会的地位に関係なく、いつでも、誰にでも起こり得ることです。起こったことの対処法はそれこそ千差万別。人の数ほど選択枝はあるはずです。ただ、今日不可能だった治療法や薬も、明日には可能になるかもしれない。それに賭ける気持ちも尊重されなければなりません。

脊椎・頸椎の損傷やさまざまな難病になっても「生きていること」を楽しめるような社会。生活のほとんどを人の手を借りなければならなくなっても、生きていくことを恥じないマインド。“そこに居て妻と会話できる幸せ”、妻は“夫と話ができ、顔を見ることができ、体に触れることを喜びと感じる”……そんな一人一人の幸福感も大事なはずです。

さらに、そのために社会からの支援を受けることを当然と思える、そんな世の中にしていく“社会的なインフラづくり、社会的ケア・サポート体制づくりの働きかけ”も大切だと思います。ぜひ、ご一緒に考えていただけませんか?