身近な人を失うことが初めてでした

遺族アンケート

85歳夫/看取った人・妻/神奈川県/2021年回答

身近な人を失うことが初めてでしたので、比較のしようがありません。ただし、活字で得ていた無理な延命治療に比べたら良かったのだろうと想像します。多死時代が到来したならば、お金に余裕のない人間は延命治療の選択肢もなく、あっさりと死んでいく人が増えるのではないかと感じました。リビング・ウイルは、たとえるならお守りのような存在でした。お世話になりました。

協会からのコメント

核家族化により、大切な人の死を見ることのない熟年世代が増えています。あわせて、コロナ禍で病院への家族の立ち入りが制限され、面会も極端に制限されてすでに3年になりますね。病院で行われる治療を目の当たりにする機会が減り、実際の延命治療がどんなものかを体験することも少なくなりました。知らないことは、恐ろしく、悪い想像ばかりしてしまうこともあるでしょう。

とはいえ、病院で医療機器に維持管理されている方が安心だと、最高の手厚い治療を諦めないで受けさせることが家族愛だという考え方は根強いものがあります。誰もが変化することは怖いものです。

まずは延命治療の実際と効果と限界、「不治かつ末期」の情況・病態を知っていただくこと。そしてイザ! という時に備えて一人一人が「考えること」を始めるように啓発活動を続けること。さらに延命治療するかしないかを本人と家族が「選択できる」という情報が浸透していけば、治る見込みのない「不治かつ末期」の延命治療を、家族の人生(経済・子どもの進学・就職・仕事)・経済力を総合的に判断して断念の意思表示ができるキーパーソンも多く育つのではないでしょうか?

延命治療をするかどうかの選択が、常に患者・家族の側にあることが大切だと思います。その際の判断に、充分な情報とリビング・ウイルが役立つのだと思います。

今、人生の最終段階における意思決定支援サイト「小さな灯台」は、その努力の真最中です。皆様のお力添えをどうぞよろしくお願いいたします。