尊厳死協会の存在があったから人工透析をしないと担当医にお願いできた

遺族アンケート

95歳母/看取った人・嫁/滋賀県/2021年回答

17~18年前に、父が癌で闘病中に協会に入会し、その時に母も一緒に入会していました。父の死後、協会の情報誌が届く時だけ入会していることを思い出す程度で、会費を納めるのを忘れた時もありました。母はもう退会してもいいと言っていましたが、年に1,000円1)だからと最後まで会員でいました。終末期になって本人から「先生にあのカードを見せて尊厳死協会のことを伝えて、延命だけの治療はしないで、苦しくないようにお願いしてほしい」と言われました。弱っていた母が、それをはっきりと家族に伝えてくれたのは驚きでした。協会のことをしっかり覚えていたのですね。最後まで自宅で過ごすか、入院させるかは一番迷いましたが、身体が少しでも楽になるように、入院させてもらうことにしました。酸素吸入で少し楽になり、コロナ禍の時期でしたが、家族は一人ずつの面会もできました。

先に決めていた人工透析をしないという判断も、入院の判断も、尊厳死協会の存在があったから、担当医にハッキリお願いすることができたと思っています。

父の意志と母の思いを尊重することができたのかもしれないと思っています。終末期の医療について、判断を求められるのは、本人ではなく家族などであることが多いと思います。その時に、本人の意志として協会の会員でありカードを持っていることがわかっていれば、先生に伝えられることが多いと思います。

編集部注:
1)尊厳死協会の年会費は現在2,000円/一人です。

協会からのコメント

「人工透析をしない」という具体的な決断を明確にされていたからこそ、看取りを振り返って家族が後悔することがなかったと実感できる「看取りのエピソード」です。「終末期の医療について判断を求められるのは、本人ではなく家族」なのです。家族が判断・決断するための勇気のよりどころになるリビング・ウイルは、まさに、次世代への「優しさの贈り物」なのだと、多くの人々に気付いてもらいたいですね。