生涯独身、縁者に意思を託す

遺族アンケート

84歳叔母/看取った人・姪/神奈川県/2022年回答

この度は叔母がリビング・ウイルにより本人が望みました通りに寿命を迎えられましたことを感謝いたします。

叔母は生涯独身でしたためか、1999年11月1日に当時勤務先にてリビング・ウイルについて知り、すでに1991年2月26日姪の私が入会しておりましたことに共感し、尊厳死協会に入会いたしました。退職前のころから関節リウマチが徐々に悪化し、そのために病院から出される薬がかなり多かったと思います。薬の影響もあり、心臓や肺にかなり負担があったと聞いておリます。

80歳を過ぎたころから在宅支援サービスを利用し、特に機能訓練をしておりましたが、全体の体力の低下と日常生活全体がきつくなり、2021年12月3日有料老人ホームに入所いたしました。ここでは入所時にリビング・ウイルのことを自身で伝えました。入所先のスタッフの対応がとても気に入り、本当に入所できたことを喜んでおりました。12月16日施設の訪問医より初診を受けました。この時には先生より終末期医療について問われ、本人がリビング・ウイルに入会していることと延命は望まないことを告げました。12月21日は、当病院の整形外科の先生から問診と採血を受けたとのことです。半年前ぐらいより坐骨神経痛もひどく本人が病院(かかりつけ)から坐薬を出していただいておりました。12月24日よりかなりの痛みが出て、ホームでの食事がうまくとれなくなり体力が落ちてしまい、12月28日入院となりました。この時、先生より肺炎の状態がかなり悪いとのことで、再び家族にリビング・ウイルのことを確認されました。2022年1月8日、この日の担当医より酸素の取り入れがうまくゆかないので人工呼吸を利用するか否か確認されましたが、本人の希望がカードによって証明されていましたので、延命処置のお断りをかなえていただきました。

2022年1月10日午前4時20分静かに逝去いたしました。1月10日は黎子の名前を黎明の暁(夜明け)に生まれた子どもということから名付けた父親の命日に静かに美しく逝去いたしました。リビング・ウイルに巡り逢えましたこと叔母共々心から感謝いたします。ありがとうございました。

協会からのコメント

独身の方が代託者を決め、リビング・ウイルを伝えて、本人の意思が尊重され静かに最期を迎えられた貴重な「看取りのエピソード」です。

尊厳死協会に入会し、自ら医療者にリビング・ウイルの意思表明を行い、縁者がリビング・ウイルカードに基づいて延命治療を断り自然な経過で最期を迎えることができた、とても良い最期だと思います。縁者の方や医療者に命の判断を委ねることがない、負担を強いることがないというのは、看取る側にとってありがたいこと。このように“生きる姿勢”が、美しい選択として広く浸透していきますように。心からの尊敬をこめてご冥福をお祈りしております。