母校に献体

遺族アンケート

92歳夫/看取った人・妻/東京都/2022年回答

2015年 4月に、夫に少し認知症(もの忘れ、車イス使用など)が出てきました。私に変形性股関節症という持病があるので、介護を手伝ってもらうため娘の近くに転居して3年。その間に、歩行がまったくできなくなり、運良く特別養護老人ホームに2018年4月に入居。2021年5月10日に脳梗塞で救急搬送され9日目に亡くなりました。特養での3年間は認知症の進行はほとんどなく、精神的にも安定して過ごしていました。尊厳死協会への入会は、本人がきちんともっていた死生観により夫婦で入会しました。職業が大学教授(教育学、教育哲学、教師教育)でしたので、死亡後の献体を母校に登録。現在、遺骨は帰っていませんので葬儀もまだという状況です。

担当医には延命治療を望んでいないことを話しましたが、亡くなり方として、リビング・ウイルの気持ちを察していただいたように思っています。医師に特別に聞いたということでなく、私の経験から(何人かの延命治療の苦しさを見たことがありますので)そう思っています。

このコロナ禍の時代1年3か月直接面会ができず(リモートで15分という形式)、病院入院時の面会もなく、私、嫁家族共何とも寂しい別れになりました。

戦時を体験、戦後は自分で考える、行動する等、誰かや国家のいいなりにならない生き方を貫いてきました。本人も80歳過ぎる頃から、しきりに「やりたいことは全部してきた、満足な人生だった、いつ死んでも悔いがない」と言うのが口癖でした。

尊厳死協会に入会していて、自分の望んだ人生をまっとうできたのではないかと、家族としても感謝申し上げます。ありがとうございました。

協会からのコメント

ご本人のリビング・ウイルを尊重され穏やかな最期を迎えられた「看取りのエピソード」です。コロナ禍で面会もできない寂しいお別れはどんなにかおつらい思いでしょう。献体もされて葬儀もまだできていない状況の中、詳しくエピソードをご紹介いただき本当にありがとうございました。くれぐれもご自愛ください。ご冥福をお祈りしております。