尊厳死協会の発信力強化を願って

遺族アンケート

●リビング・ウイルに興味をもつ人は多いのに……

91歳母/看取った人・娘/神奈川県/2024年回答

家族が本人の気持ち(延命を望まない)を医療従事者に言葉を尽くして丁寧に伝えるより、本人が会員証とリビング・ウイルを提示したことで、本人の意志の強さや思いを十分に理解し寄り添ってもらえたように思います。

枯れ葉が枝から散るように穏やかな最期でした。

貴協会に対する知名度がまだまだ低いと感じています。終活講師として活動している私は、セミナーや個別相談時に貴協会の話をしますが、これまでに知っていた人は一人もいませんでした。話をすれば興味をもったり、入会方法を聞かれたりすることが多いのに残念に思います。

外部への発信力を強めてみてはいかがでしょうか。両親が穏やかな最期を迎えられたのは、まぎれもなく貴協会の会員であったらからだと思っています。元気なうちから延命について話し合い、介護が必要になってからは医療従事者とも信頼関係を保ちながらコミュニケーションをとることができたのは、会員証とリビング・ウイルが支えとなって助けてくれたからでした。多くの人に知ってもらい活用してほしいと思います。今後は両親の経験を活かし、私もさらに発信力を強めていきたいと思います。

●「尊厳死協会? 知らない」との医師の言葉にがっかり

90歳父/看取った人・娘/東京都/2024年回答

今回の父の死去に際しては、本人の希望通り延命治療をせず、眠っている間に亡くなりました。が、正直、尊厳死協会に入会していたおかげでそのようになれたわけではなく、緩和ケア病棟のある病院を探して入院することができたからでした。
以前、やはり尊厳死協会の会員である母が、がんになった折に、某病院の医師に「尊厳死協会に入会しているので、無意味な延命治療はしたくない」と母が申したところ、「なに? 尊厳死協会? そんなのあるんだ。知らない」とあっさり言われ、大変がっかりしました。貴協会がなお一層、多くの人に周知されることを望みます。

協会からのコメント

新聞を購読しているご家庭も、どんどん減っています。雑誌などの衰退ぶりが物語るように、ターゲットに届く「発信」が非常に困難な時代になりました。

人は自分にとって必要な情報しか見ようとせず、「知らない世界」の情報には触れる機会がない傾向がますます強まっています。ましてや「死」についての話題、「尊厳死」に関してはなおさらです。

子どものいない人はいても、親のいない人はいません。そして、人間は100%、必ず死を迎えます。それでも、「太陽と死は直視できない」と言われるように、多くの人は死について深く考えることを避けがち……まさにそのとおりです。

それにもかかわらず、自らの死に真剣に向き合い、意思を明確にされた尊厳死協会の会員の皆様は、本当に貴重な存在であり、大事な存在です。その会員の皆様ご自身が、それぞれのお仕事や日常を通じて語り継いでくださること。そして、会員どうしが支え合い、つながり合えるよう、各地でのサロン活動を活発にしていくことが、発信力強化の基盤になるはずです。会員の皆様による「草の根の活動」こそが、今の時代に求められている力だと感じています。

尊厳死協会も、会報や雑誌媒体を通じた広報活動に、鋭意努めてまいりますので、今後とも、会員の皆様のご支援とご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。