最期に「また、あした!」の挨拶を交わして安らかに…
遺族アンケート
2年半前に介護付有料老人ホームに入居。1年半前に血尿があり、施設医よりガンであることを告げられました。高齢ゆえ、検査そのものが困難と言われたため、母には病名は告げませんでした。医師には、母の思い、私たち子どもの思いを話し、その旨受け入れていただきました。母も自ら医師・ホームの方々に「尊厳死」の話をしてご理解いただき、周りの人々全ての思いが一致しておりましたので、安心して過ごしているようでした。
亡くなる4日前に初めてオムツをあてて、いわゆる寝たきり生活に入りましたが、自分で死期を悟ったのか、周りの人々に感謝の言葉を、子どもたち(夫婦)には自分の願いを述べ、最後に私と「また、あした!」の挨拶を交わして、その5時間後、夜の就寝中に亡くなりました。とても穏やかで安らかな顔でした。自分の望んだ通りになったことを、母自身も満足していたからだと思います。母の願いに添えるよう、周りの思いが一致しておりましたので大変良かったと思っております。
おかげさまで、私たちきょうだい3人も、心安らかに母を送ることができました。ありがとうございました。
協会からのコメント
100歳の女性の見事な死生観。尊厳死について自らも語り、医師をはじめご家族、老人ホームの皆さまが、その語りを聴いて思いを一つにしていかれた情況がよく伝わります。
今話題の患者さんの物語りを大事にしようという医療(ナラティブ・ベイスト・メディスン=N・B・M)も、語ろうとする人とそれを聴いてくれる家族と医療者、さらに聞いたことを行動に移す家族や医療者がいてはじめて成立します。そのどれが欠けてもうまくいかないものです。机上の空論ではなく、それを全うされた「看取りのエピソード」をご紹介できることこそ「小さな灯台」の誇りです。
誰もがこのような良き関係性に恵まれるとは限りませんが、一つの「良い事実」を知ることで、いつかどこかで誰かの決断の勇気につながるかもしれないという思いで、ご紹介します。多くの方々の参考になりますように、敬意をこめてご冥福をお祈りしております。