尊厳死を受け入れたことが心の安定に

遺族アンケート

65歳夫/看取った人・妻

リビング・ウイルを教えてくれたのは夫でした。その時は「こういうのがある」という認識で積極的に入会しようという話にはなりませんでした。むしろ私の方が興味をもち始めていました。その後、夫が発病。不治の病であることを知ってから、私は夫に入会することを提案しました。私自身も尊厳死を望んでいたので、2人で入会しました。夫も同意してサインしました。

病院の先生や訪問医にも伝えていたので「苦しむことのないように」ということを第一に考えてくださり、うまく連携してくださいました。最期はホスピスにお世話になりましたが、あまり苦しむこともなく、家族全員が見守る中、静かに息をひきとりました。

亭主関白で、わがままで、頑固な夫、父親(もちろん優しいところもたくさんありましたが)でしたが、介護を受けるようになると、ヘルパーさんや家族にもいつも「ありがとう」と言ってくれて「お父さん変わったね……」と、子どもたちと話していたものです。多分、尊厳死を受け入れていたのが、心の安定につながっていたのではないかと思います。

ただ、本当にこの選択で良かったのかというのは、残された者として迷いが今でもあります。夫の意志とはいえ、半ば強制してしまったのではないか……という思いがあります。でも、何も機器につながれず、自然に息をひきとる姿をみられたこと、ゆっくり静かに穏やかに最期を過ごせたこと、それは幸せなひとときでした。私自身のこととして考えると、間違っていなかったと思います。

協会からのコメント

「本人の希望通りの看取り」を成し遂げられたご自分をまず、褒めてあげましょう。ヘルパーさんやご家族にも「ありがとう」と言って感謝を伝えられて、ホスピスで「苦しむことのないように」対処され、家族全員が見守る中、十分満足して旅立たれたことでしょう。

客観的にはどんなに満足な看取りをされても、かけがえのない大切な人の看取りに後悔は尽きることがありません。そのことを「小さな灯台」の数々の「看取りのエピソード」から知っていただくことは大事なことだと思うのです。自分だけではないのだなと。多くの人が、やはり後悔するのだなと。そして「間違っていなかった」と自己確認を繰り返し、ご自身を癒してあげてください。【小さな灯台・情報BOX】の「悲嘆の感情(グリーフ)」の解説も参考になさってください。くれぐれもご自愛ください。奥様の健康をお祈りしております。