コロナ禍での医師の配慮ある判断に感謝

遺族アンケート

73歳夫/看取った人・妻/埼玉県/2021年回答

夫が入院中にコロナ、クラスターが発生し家族の面会もできなくなりました。夫は陰性でしたが、その中で、吐血による心停止になりました。「家に帰りたい」が口癖でした。心臓マッサージもしない旨伝えてありましたが、長い間家族とも会えずにいたので、担当医の判断で心臓マッサージをし、口から酸素を入れられておりました。夫の意識のある時に会えない時間が長かったので、最期が近づいた時には1日に1回は会わせてくれました。担当医から脳に酸素が流れていない時間が15分以上だから、助かったとしても植物人間になると言われました。毎日、会わせてくれましたが、心拍数が早く心臓が疲れ、長くはもたない覚悟はしていました。その段階で点滴は止めました。吸収しないのに続けることにより浮腫が出ると思うので止めてもらいました。担当医は何回もPCRの検査をしてくれて陰性の確認をとってくれました。最後まで付き添ってくださり、遺体で帰してくれました。酸素吸入で曲がった口も「おとうちゃま、お帰りなさい」と声がけして家に安置したら、歪んだ顔が穏やかになったことは驚きました。最期まで声は聞こえていたのだと思いました。担当医は「生命維持はしない旨聞いていたが、自分の判断で心臓マッサージをさせてもらいました」と。でもこれがなければ、コロナ禍の異常な時に、残された家族は心の整理もつけられなかったと思います。

協会からのコメント

医療者の勇気ある「看取りのエピソード」です。コロナ禍の今、全国各地の医療機関でどれほど苦心されていることでしょう。

家族に会わせたいという思いから処置をして命をつなげてくださったおかげで、家族はぬくもりを感じ、心の整理の時間をもつことができたことでしょう。

コロナ禍という初めての事態の中で、リビング・ウイルに縛られ過ぎず、患者・家族の思いに寄り添ってくださった医師とケア職者がいたという事実をご紹介できることを「小さな灯台」の誇りとしたいと思います。そうした医療者の心遣いに素直に感謝して看取り、希望の自宅に連れ帰ることができたこと。誰もが、そのような恵まれた状況にはないことを承知したうえで、ご紹介させていただきます。

コロナ禍で、前例のない看取り方に苦闘しておられるすべての医療者に敬意と感謝をこめて。