本人の望みを聞き取り、認め、寄り添う

遺族アンケート

88歳母/看取った人・娘/東京都/2021年回答

母は、父が脳梗塞になり右半身マヒになった時、父の望むことに寄り添い2人でできることを最優先に介護する側、される側助け合っておりました。父の最期は本人の望み通り、延命治療ではなく緩和ケア病院で迎えました。その様なことを経て、母は「尊厳死協会」の会員になったと思われます。母の最期は、心臓手術後、無事に退院したものの体調を崩し、わずか3か月のことでした。本人にとっては、望み通りの最期ではなかったと思います。しかし、88歳にして心臓手術を受けることを自分で決め、回復するためにがんばっていたと思います。両親の最期を看取る経験で思ったことは「いかに本人に寄り添えるか」。医療の発展により、たくさんの可能性がある中、本人が望んでいることを聞き取り、それを認め、寄り添うこと。それが一番、お互い後悔がないのではと思いました。

協会からのコメント

父の希望・意思をかなえながら介護をした母、そして母の治療への決意と実践、それらを知っている娘さんの感想。命をいとおしく思う気持ちが引き継がれる様子がよくわかる「看取りのエピソード」です。

「本人に寄り添う」「本人が望んでいることを聞き取る」とは、今よく言われることですが、実際にできるかどうかは深い信頼関係があってこそ。まずその信頼関係を築く日常の暮らしのありかたの大切さにも気づいてほしいと「小さな灯台」は思います。

まさしく「医療の発展により、たくさんの可能性がある中」その最期の医療の選択をするのは医師ではなく、本人および家族です。その事実を、多くの人々に知らせたい、知ってほしい大切な「看取りのエピソード」です。