最期の食事でビールを飲み満足

遺族アンケート

86歳夫/看取った人・妻/神奈川/2021年回答

最後の1週間のみベッド生活。それまでは見守りのみで自分の生活すべて、自分の力で動く。ゆっくり、ゆっくり。トイレはベッド脇に設置。間に合わない時のみ。家族、本人、先生、すべて理解し、苦しみ皆無。7枚いただいた1枚目で寝ている延長で……(注)。

 “コロナ”も幸いし、私も1年間外出なし。子ども、孫、それぞれに来て会食を楽しむこと、話し合うこともできました。最後の食事は“見て、食べた気になる”と。寝室での最後の食事は家族ともどもにぎやかに、途中、夫はビールを所望。病人用ストロー付きのコップで飲み、満足。3日後に。看護は24時間体制で。先生、看護師さん、皆様の温かい心のこもった対応をいただき、良い思い出を夫にもらったことを胸(心)に見送ることができました。

“尊厳死”そのものでした。尊厳死協会に出会えたことに感謝いたしております。ありがとうございました。

編集部注:

  • 「7枚いただいた1枚目」は、おそらく麻薬系の貼付用の鎮痛剤だと思います。初めは内服薬で量を加減して、貼付剤に切り替えるというのはよくある方法です。経口摂取が困難になっても鎮痛効果が維持できるので苦痛の緩和に役立ちます。

協会からのコメント

「在宅介護・在宅看取り」の目的と目標を実現されたモデルのような「看取りのエピソード」です。

元気な時に「もしも最期に何を希望するか?」と聞かれると、多くの人は世界の旅とか無人島に行きたい……など大きな夢を語りがちです。しかし、実際の末期の患者さんは、身の回りのものを片付けたいとか、家族で食卓を囲み食事をしたいと語られることが多いものです。

何より「自分は食べられなくても、家族が食べている様子を見ていたい」と希望されます。食事は、例え自分では食べられなくても、目や耳など “五感”で楽しめるものなのです。

食べられない人の前で食べることに遠慮する必要はないのです。また、食べたいのに食べられないことで周囲の人に怒りをぶつける態度をとるより、素直に「○○が食べたい」と意思表明して、希望を明確に伝えてほしいと思います。

イザ、その時! になると、ご家族も患者さんも、それぞれに複雑な感情に襲われるものですが、正解はなくても「最期の希望をかなえてあげたい気持ち」は世界共通、家族・友人・医療ケア職の誰にでもあります。きっと願いはかなうはずです。

“尊厳ある穏やかな最期”を迎えられたのは、ご家族はじめ周囲の皆さんの思いが一つになりこの時となったのでしょう。ご投稿、本当にありがとうございました。ご冥福を心よりお祈りしております。