病院側から「DNAR同意書」(注)を提示
遺族アンケート
84歳母/看取った人・息子/埼玉県/2022年回答
亡父と一緒に入会したので、母本人は貴協会の会員であると認識していたかどうかはわかりません。ただ、父と同様にしてほしいと言っておりましたので、余命宣告を受けた際には過度の治療は希望せず、緩和医療を重点に自宅での療養としました。結果として「母の意志はかなえられた」と、家族としては考えています。母は自宅で亡くなりましたが、亡くなる2日前までがん治療のため大学附属病院に通院しておりました。亡くなる2週間ほど前に「DNAR 同意書」(注)という文書を提示され、説明を受けた上で、私と母は署名提出いたしました。これは、貴協会が提唱していることが受け入れられていると感じました。
編集部注:
DNARはDo Not Attempt Resuscitationの略で、蘇生(Resuscitation)を試みない(Do Not Attempt)のことです。医師から、高齢者の心臓や呼吸が止まった時に心肺蘇生を行わないという本人やご家族の意思を示すものとして、DNARの同意を求められることがあります。
協会からのコメント
大学病院によっては、明確に「通院の必要がない。在宅かホスピスか選択してください」と言い渡されるケースもあれば、通院してくることが患者さんの希望になっているならそのまま受け入れるという場合もあるようです。「DNAR同意書」は、無理な延命をしない、延命・救命処置をしても苦痛が大きく命を助けられないような時に医療者側から提案・説明されることが多いようです。
大学病院でのがん治療、「DNAR同意書」の説明と署名は、がんを治すための治療ではなく今の状態を保つための治療をしていくため、または治療による効果が望めない状況を考えた上での選択だったのでしょう。
リビング・ウイルがなくても(地域差はあるかもしれませんが)、こうしたことは医療の中で普通に行われて、家族がいつかは迎える事態だと心得ておくことを教えてくれる「看取りのエピソード」です。
ご投稿いただき誠にありがとうございました。