リビング・ウイルの提示なしでも本人の希望通りに

遺族アンケート

92歳父/看取った人・息子/埼玉県/2022年回答

総合病院の内科に通院していましたが、通院するのが苦痛になり、近所のクリニックの先生に往診をお願いに行ったところ、悪性リンパ腫と判明し、本人には伝えませんでしたが余命数か月と知らされました。治療は苦痛を伴うので緩和医療を自宅で行うことにしましたので、結果として本人の希望通りになったと考えております。先生との話し合いの中で、特にリビング・ウイルについて話をしなくても、その方向に向かいそうだったので、先生には尊厳死協会に入会していることは伝えませんでした。年齢、病状などから、今後の治療方針が示された時に、リビング・ウイルの趣旨に合ったものを提示していただけたものと思っています。近年は尊厳死の考え方が認知されやすくなっているのかと感じました。

協会からのコメント

「近所のクリニックの先生に往診をお願いに行った」という投稿だけでは、どのようなクリニックだったのか不明ですが、おそらく在宅医療・訪問診療医師として「ホームクリニック」または「かかりつけ医師」という診療体制を採用している医師だったのでは? 近年緩和医療の研修を受け「看取りもします」という方針を明確に掲げている在宅医療・訪問診療医師が増えています。

「高齢で」「効果的な治療方法による苦痛が大きい」「完治は望めない」となると、在宅医療・訪問診療医師たちは、「在宅での終末期の緩和医療」を選択し、ご家族にもその方針を丁寧に説明してくださるはずです。
リビング・ウイルの有無に関わらず苦痛を伴う治療で治らないという時は、できるだけ苦痛なく過ごせるような対応をすることが在宅医療・訪問診療医師だからこそできるのだということを、多くの人々に知ってもらえる格好の「看取りのエピソード」です。