特に尊厳死協会員であることは伝えなかったが……

遺族アンケート

81歳妻/看取った人・夫/宮城県/2022年回答

胃癌で胃の摘出手術後約1か月半入院していましたが、コロナ禍で家族の面会も許されず本人の強い希望もあって訪問看護制度を利用し自宅療養を1か月試みました。病状悪化により緩和ケア内科のあるクリニックに再入院しましたが、病状が厳しいことを告げられました。その際、特に強調して尊厳死協会の会員であることを告げることはしなかったように思います。ただ私たち二人で協会の趣旨に賛同して一緒に会員になって以来、事あるごとにその意志を確かめあっていましたので、病院の方にこれ以上の延命治療で本人に苦しみ、苦痛を与えないで、その苦痛の緩和治療を中心にとお願いしました。病院側もそれを受け入れてくれた治療を施してくださいました。

協会からのコメント

「入院すると家族との面会ができない」というコロナ禍での制約が在宅医療・訪問診療医師や訪問看護師による在宅医療を選択する人の増加、在宅医療の推進につながったようです。

再入院の際、夫婦で相談していたこと、「これ以上の延命治療で本人に苦しみ、苦痛を与えないで、その苦痛の緩和治療を中心に」と伝えたことは、リビング・ウイルを伝えたのも同然のことと思います。

このような「看取りのエピソード」を通して「小さな灯台」は、緩和ケア内科・緩和ケア・ホスピス・在宅医療・在宅ホスピスなどなど、「尊厳死」と同じ意味あいをもつ「生き方と医療の選択」が、患者・家族の皆様の「意思表明」と「選択する意思」によって実現していく実際を紹介し続けていきたいと思います。これからも皆様の医療選択の体験投稿をお待ちしています。