家族の悲しさと誇り

遺族アンケート

88歳義母/看取った人・嫁/神奈川県/2022年回答

救急搬送されての入院でした。ただし、延命治療に関することは施されていないので、本人の意志は伝わっていたと思います。尊厳死についても口頭で家族に伝え続けています。自分の身体の状態についても治すことを目指し、しっかりと自己管理をし、88歳まで生きてくれました。自分の終末についても迷いなく決めたことと思います。家族としてはそんな母の強い気持ちについて、逆に悲しさを感じることがありますが、立派に貫いたことは誇りに思います。最後に、母の意志は家族に対して迷惑をかけないという気持ちからだと思っています。

協会からのコメント

かつて、河合隼雄先生(臨床心理学・ユング派分析家。日本に初めてユング心理学を紹介、箱庭療法でも知られる高名な心理学者。1928年~2007年)は、「育児は苦しいけれど楽しい➡苦楽しい」とか、「うそは常備薬。真実は劇薬」などなど、数々の名言を遺されたことでも高名です。確かに「育児には愛しさも楽しさも感じている、だけど……」とあえて苦しい感情に焦点を当てて1980年代以降「育児ストレス」という言葉が生まれてきました。

「尊厳死」の選択も決して死に急ぐことではなく、「自分の身体の状態についても治すことを目指し、しっかりと自己管理をし、88歳まで生きてくれました」というお言葉通りの「生き方」の選択であること。だけどそれは同時に「家族としてはそんな母の強い気持ちについて、逆に悲しさを感じることがありますが、立派に貫いたことは誇りに思います」と。「悲しさと誇り」を、この短い投稿でしっかりと伝えていただいています。

私たち「小さな灯台」も同じ想いです。ご自分の生き方に自分なりの意思をもち、それを表現して行動された「生き方モデル」のひとつとしてご紹介できることを「誇り」に思います。 

ご家族の皆様のご健康を心よりお祈りしております。