判断・決断の時の一番の指針はリビング・ウイル
遺族アンケート
91歳母/看取った人・娘/滋賀県/2022年回答
介護老人保健施設入所中に体調を崩した際に、施設の看護師から「救急般送したい」との連絡を受けたが、私がリビング・ウイルの件を話し、主治医と相談してほしいと伝えると、主治医が「挿管されて苦しむ可能性が高いから、施設で様子をみる」と答えてくれた。機会があるごとにリビング・ウイルの話をしておいて良かったと思った。また、施設より自宅に戻った時に、どんどん体調が悪化し非常に苦しみだした。その時、最初は「心臓が悪い人には麻酔を使って楽にすることはできない」と、訪問看護師が言っていたが、医師の方から「あまりに苦しまれるようでご家族が希望されるのであれば使います」と言われた。私は「今日1日様子をみて決断します」と伝えたが、翌日、麻酔を使うことなく、亡くなった。内心、ホッとした。
コロナ禍で一旦施設に入れば、亡くなった後にしか会えないという状況下で、たまたま帰宅時に体調悪化、自宅での看取り決意という流れになったが、自宅で看取れたことは、大変ラッキーで良かったと思う。
看病、介護している最中は、その時その時悩んで悩んで、でもすぐに判断・決断の連続だったが、亡くなってしばらくすると、たくさん後悔して「あの時はああすれば良かった。こうすれば良かった」とくよくよしてしまう。これが看取る側の必ずたどる道なのかなとも思う。
ただ、判断・決断の時の一番の指針はリビング・ウイルだった。晩年、母は認知症で自分の意思を伝えることはできなくなっていたが、はっきり意思表示できるうちに、こちらの会に入っておいて良かったと思う。ありがとうございました。
協会からのコメント
「亡くなる人は不思議と自分で希望する場所と人を選んで亡くなるものだなぁ」とは、多くの看取りを経験してきた看護師たちの感想です。自宅での看取りになったことを「ラッキーだった!」と受け止めてくださるご家族へのお母様からのギフトだったのだと思うこともできますよ。
「看病・介護はその時その時悩んで悩んで、でもすぐに判断・決断の連続だったが、亡くなってしばらくすると、たくさん後悔して『あの時はああすれば良かった。こうすれば良かった』とくよくよしてしまう。これが看取る側の必ずたどる道なのかなとも思う」とはおっしゃるとおりです。
誰もがたどる道にも、法則があります。【情報BOX】日本尊厳死協会員のための「看取りの観察と過ごし方ガイド」も参考になさってください。ご冥福を心からお祈りしております。