長寿はリスク

遺族アンケート

87歳母/看取った人・娘/千葉県/2023年回答

母は60代から延命治療を否定し、私たち二人の子にも繰り返し言い含めてきましたので、その面では迷いはありませんでした。貴協会のホームページでリビング・ウイル受容協力医師を検索し、お二人の医師にお世話になりました。お二人ともよく話を聞いてくださり、家族のリクエスト通りに最期まで対応くださり何の不満もございません。ただ最後の日々は認知症を発症し、自分が役に立たないことを繰り返し語り、「今まで頑張ってきたのだからゆっくり過ごせばいい」と医師や家族が申しましても納得せず、自分を否定する、いたたまれないと嘆く姿は家族としてつらいものがございました。母は尊厳死を迎えることができましたが、それでもやはり死というものは絵に描くようにはいかないものでございました。長寿というのはリスクであると改めて実感した次第です。それでもなお貴協会の取り組みを心より応援してまいります。お世話になりありがとうございます。ご発展を心よりお祈りします。

協会からのコメント

生きていても役に立たないという「役割の喪失」を感じて、ご本人はつらい思いをもちながら晩年を過ごされ、ご家族もつらい思いをされたことでしょう。多くの方がこの思いにとらわれ、鬱症状につながることも多いことが研究者の中でもよく知られています。

個人や家族だけの取り組みには限界があります。地域社会全体の対応が必要だと思います。これからの地域包括ケアシステムの一層の充実に向けて「小さな灯台」も発信し続けてまいります。ご冥福をお祈りいたします。