決断までの道程が死を受容する大事なステップ

総合科医師匿名希望

私の患者様では、医者が呼吸器を外さないという問題はあまり経験したことはありませんでした。むしろ、介護していた親御さんが体調を崩して病院に連れていった際に、「延命治療はどうされますか?」と聞かれて動揺したという話はよく耳にしました。終末期について、医療者と家族の間に認識のギャップがあると思いました。その結果、親御さんが亡くなった時に「医療過誤だった」といった印象をもたれることもありました(裁判になった例はありませんでしたが)。

もちろん、本人も家族も状況をよく理解していて、粛々と最期を迎える家族もたくさんありましたが。

最近は人工呼吸器を選択すること自体があまり多くないような気がしますが、厚労省のガイドラインではいろいろな場合(家族が決められない場合も含め)の選択肢について記載されています。本人が決められなければ家族、家族が決められなければ第三者の意見を聞くこともできます。人工呼吸器を外せないということはないと思います。このような問題を法律で決めるというのはかなり難しいのではないでしょうか。

いうまでもありませんが、普段から本人と終末期について話をしておくことがなにより重要だと思います。それができない場合には、十分な時間をかけていろいろな人と相談しながら決断するしかないように思います。つらい決断かもしれません。が、その道程が死を受容する大事なステップになるような気がします。

【協会からのコメント】

まさに「終末期について、医療者と家族の間に認識のギャップがある」と、大切で的確なご指摘だと思います。この認識のギャップをまず、埋められる情報提供の仕方が必要だと切実に感じます。

かかりつけ医師と本人とご家族が「普段から終末期について話をしておくことが何より重要」だと。今こそ、この一歩が、必要不可欠ですね。

以上