子どものいない義姉の看取り
【遺族アンケート】
88歳義姉/看取った人・義妹/山口県/2023年回答
義姉は末期のがんとは知らずに、施設から病院に入院しました。すぐに危篤になり、先生より「今後の望む治療は?」と聞かれ、末期の肺がんはとても苦しいと聞いていたことや、本人が「痛みや苦しみから解放されたい」など希望し、尊厳死協会の会員であることを伝えました。先生は「わかりました」と。その後、臨終の知らせがありました。義姉の顔は、とても穏やかで美しい顔をしていました。決して苦しんだ顔ではありませんでしたので、私たちも良い決断だったと思っています。私ども夫婦はもちろん協会に入っていますので、子どものいない義姉とは普段から協会の話をしていたこと、遺影も自分のお気に入りの写真を用意していたことなどなど良い最期だったと思っています。ただ心残りが一つ、コロナ禍ですので最期を看取ることができませんでした。ごめんなさい、残念です。
【協会からのコメント】
それまで自己主張を明確にして生きてこられた方でも、終末期になると「達筆だった方も字が書けなくなる」「思考がまとまらなくなる」「想いはあっても言葉がぐるぐると堂々巡りする」など、うまく相手(ましてや医師)に、自分の意思を明確に伝えるのは至難の技になります。その時の対処策として、念のために「尊厳死協会に入会しておく」という行動ほど、明確な「意思表示」はないのではないでしょうか?
「話していた」「紙に書いて引き出しに入れてある」というだけでは、イザ! という時、夫婦でも子どもでもない人が「尊厳死を希望していました」と明言することは大変な勇気が必要です。その勇気への後押しは、明確な意思の裏付けとしての「尊厳死協会のカード提示」であるはずです。
これから、ますます身寄りのない高齢者が増える時代がきます。自分の最期を真剣に考える人々によって「尊厳死協会に入会しています」という行動による意思表示の明確化が、新しい生活術として馴染んでいくようにと願っています。モデルとなるご投稿に感謝します。