医師・看護師からのお褒めの言葉
【遺族アンケート】
94歳夫/看取った人・妻/神奈川県/2023年回答
本人が元気で意志が確認できる状態にある時に、このような話ができ、家族も笑顔のうちに本人の意志を快諾できたことは良かった。医師や看護師からも大変お褒めの言葉をいただきました。「元気なうちに家族全員で尊厳死の話をしていたことは大変素晴らしい。病院内スタッフ全員でこの話を共有します」とのことでした。
【協会からのコメント】
「死と太陽は正視できない」と言われます。
頭ではわかっていても、言い出せないご家族は多いものです。
意識が明確な時に「本人の意思を快諾できたことは良かった」と、ご遺族が納得されている事例を、すかさず「元気なうちに家族全員で尊厳死の話をしていたことは大変素晴らしい。病院内スタッフ全員でこの話を共有します」と病院の医師や看護師がきちんと褒め讃えて「全員で共有します」という言葉でしっかり応答されている病院の接遇の素晴らしさに着目してほしいと思います。
この応対こそが「人間の承認欲求(理解し認めてもらいたい)」を満たしているからです。
物質的には豊かになった現代。人々のニーズは物やお金ではなく「承認欲求」だと言われています。
1995年の厚生白書で「医療はサービス業」と規定されて以来、全国各地の病院で「医療接遇」が試行錯誤されるようになりました注)。
国民皆保険制度の日本では、他のサービス業とは異なり、値段の安さ、高さで人々をコントロールすることはできません。だからこそ、人間の基本的ニーズとされている「承認する・承認される喜び」を見逃してはならないのです。
殊に、信頼している医師や看護師から「認めてもらえた」という喜びが、いかに大切なものか教えてくれる「看取りのエピソード」です。
「尊厳死を希望する」という風潮が育っていくには、このような一つ一つの応対の積み重ねが、きっと変化の力になっていくのだと信じたいと思います。
貴重な経験を投稿していただきありがとうございました。
編集部注)
平成8年より厚生労働省が実施している「受療行動調査」で、医療への満足度等が調査されています。概ね、満足度はあがってきていることから、各病院の努力がうかがえます。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/34-17.html