死を早める選択をするつらさ

遺族アンケート

90歳母/看取った人・娘/石川県/2023年回答

コロナ感染防止で入院しても面会できず、説明もほとんどなく、本人も家族もつらかったです。

その大病院で病状説明と今後の治療方針をどうするか聞いた際、経口摂取不能、認知症あり、寝たきりの状態でした。「本人には判断力がないので、家族が決めてほしい」と言われて、①中心静脈栄養、②胃ろう、③末梢静脈栄養の選択肢の中で、命が短くなるとわかっている③を選ぶことにしましたが、相当つらい選択でした。

本人は早く死にたいと訴えていました。認知症ではあるが、言葉の理解力やその時その時の判断力はありました。もしも、本人に意識がなく、苦痛を感じない状態だったら、家族としては①か②を選ぶ方が罪悪感がなかったし、そうしたかもしれません。本人が元気なうちからリビング・ウイルを希望していたので、正直言って迷うことは不要だったのですが、いざ直面すると家族としては迷いました。

亡くなる2週間前に、高齢者施設である「看護小規模多機能」に移ることができて、面会制限がなく、訪問看護師と、先生に穏やかな最期を看取っていただくことができて、本当に良かったです。

協会からのコメント

ある日、突然「どうしますか? ご家族で決めてください」と聞かれ、次々に治療の選択を迫られる事態に苦悩しない人はいません。終末期から最期の看取りに至る症状や感情や環境は千差万別です。

それだけに、ちょっと先行く先輩たちの多様な看取り経験を知り、学ぶことは、これから大切な人を看取るための準備につながるはずです。

ご本人のリビング・ウイルを知り、尊重し、伝えることで、迷いを納得に変えていくしかないと思います。どんな決断も結果として最善の方法だったと思いましょう。ご冥福をお祈りいたします。