終末期医療の苦痛緩和の適用条件を変更してほしい
遺族アンケート
96歳母/看取った人・娘/東京都/2023年回答
医師がリビング・ウイルを知りませんでした。家族、本人の要望は聞いてくださいました。最後の1か月間は酸素(鼻から)と点滴(腹部)。点滴については本人の希望で1週間前には中止。水分は氷を親指大にしたものをほっぺに入れて喜んでいました。2か月ほど前は「どこも不快なところはないし幸せ」と言っていましたが、1か月を切る頃から不調、苦痛が増えて、イライラして荒れていました。ずっとそばで見ていたので、亡くなった時は「がんばったね」と言いました。苦痛で不眠の日々が続いた頃、医師に弱い安定剤か睡眠剤をと要望しましたが、心臓に悪影響と言われ、96歳と高齢で死期も迫っているのに、日本では安楽死は認められていないということで諦めました。少しでも苦痛を除いてあげたいと思ったのですが、法律上は無理ということがわかりました。
父や夫の時は末期がんだったので、最後の頃はそのような薬が投与されていたのですが。家族3人の介護、医療を通してたくさんのことを学べたと思い感謝しております。
できることなら自分が母の年齢の頃になって同じようなことがあったなら、終末期医療の苦痛緩和の適用条件を変更して、安心して最後の時が迎えられる時代になってほしい。そうすれば生きている時はしっかり生きようという気持ちになり、老後を恐れることもなくなると思うのですが。
協会からのコメント
超高齢社会を迎えた私たちの国は今! まさにご意見通りの方針が必要とされていると思います。
いただいたご意見をそのまま【協会からのコメント】とさせていただきます。終末期医療において「日本では安楽死は認められていない」という概念の中で検討されるのではなく、終末期医療の苦痛緩和の適用条件を変更して、安心して最期の時が迎えられる時代になってほしい。そうすれば生きている時はしっかり生きようという気持ちになり、老後を恐れることもなくなると思うのです。
それこそ【終末期の症状】は千差万別です。だからこそ、ひとりひとりの切実な体験を事例として集めて【見える化】していくプロセスが大事なのです。
終末期の緩和ケアの希望のトップは「苦痛だけは取り除いてほしい」ということです。その患者とご家族の期待に応えられる「患者中心の医療」の実現に向けて、一歩、一歩プロセスを踏んでいきましょう。
老いることを恐れなくてよい未来に希望をもって、今! をよりよく生きていきましょう。
ご冥福をお祈りいたします。