病院に入れてごめんね

遺族アンケート

91歳夫/看取った人・妻/神奈川県/2024年回答

夫は緑内障で目もほとんど見えず、認知症も89歳頃より進んできておりましたが、まだプライドをもっており、1人でトイレに行き、落ち込むことがないのが家族にとっては救いでした。

夫、私ともに在宅医療を希望して、訪問医師、歯科医師、リハビリもお願いしていました。しかし、1月頃より食事、水分もとらなくなり、評判の良い病院に入れて、少しでも食事ができるようになるようにと思い、入院をさせました。主治医には延命治療をしないことを伝えていました。個室でしたが、トイレは使用せず、一番嫌がっていた紙オムツをはいており、一生懸命脱ごうとしておりました。精神安定剤を飲んでいて、面会に行っても眠っており、声をかけても返事がなく、食事も食べていませんでした。本人も「本のある部屋に戻りたい」と言っていたことを看護師に聞き、私の胸が痛み、認知症は環境が変われば進むといわれておりますので連れて帰ろうと考えていましたが、入院11日目で旅立ちました。

91年の生涯でした。私ももう90歳で、87歳の時に「胃がん」の手術をしており、体調もあまり良くはなかったのですが、介護していた時の方が元気でした。気がゆるんだせいか? 元気が消えてきており、夫の写真に「病院に入れてごめんね」と話しかけて手をあわせている日々です。延命治療もせず、午前中にお風呂に入り、午後5時、静かに天国に行ったことを聞きました。天国で安らかに過ごしていることでしょう。乱筆乱文にてお許しください。

協会からのコメント

プライドをもって生活されていた様子が伝わってきます。ご本人は目が見にくく不安も強く感じておられたと思います。「食事も水分もとらなく」なるのは、「とらなくても良い時期になったからだ」という理解の仕方がご家族に必要です。そこで何としても食べさせようとすることは、かえって患者さんを苦しめることになります。そうしたときに、ひたすら何もせず見守る勇気が、ご家族には求められるのです。

そうはいっても、老々介護や、助けてくださる人手に恵まれない時には、病院、または介護施設に助けを求めて、延命治療ではないケアを求めて良いのです。

病院に入れたことで、ご自分を責めないでください。その時に必要なことであり、最善の選択だったのです。くれぐれもご自愛ください。ご冥福をお祈りいたします。