ぶれずに済んだ「本人の意思尊重」というスタンス

遺族アンケート

88歳母/看取った人・娘/熊本県/2024年回答

がんが胆管をつぶすので、ステントの交換を繰り返していたが、何回目かの処置がよほどつらかったらしく、それ以上の処置を拒否した。会員証と直筆の手紙を持参して、本人の意志を尊重してくださったが、病状が進んだある時、「もう一度家に帰りたかった」と母が言った時は何ともいえない気持ちになった。あの時、処置をしていれば……と。

最期を迎えた病院に入る前には、別の医療機関の緩和病棟にお世話になっていた(もともとは消化器内科で治療を続けていて、その後緩和病棟に移動)。ここにいた時の方が、カードや手紙を持って、何度も話した気がする。最期を迎えた病院に転院した時は、最初から「延命処置はせず、とにかく痛みだけは取ってください」とお願いした。
会員証や母の手紙のおかげで、私たちは「本人の意志を尊重してほしい」というスタンスで、ぶれないでいられたように思う。もし会員証がなかったら、亡くなった後もいろいろ考えてしまったと思う。

協会からのコメント

ご本人の意思を尊重することの難しさを感じさせる「看取りのエピソード」です。「延命措置はしない、でも家に帰りたい」という願いも聞いて……「どうしたら良かったのか」とご家族は迷いのループに巻き込まれてしまいがちです。その時は、本人の希望も大事。サポートする家族の希望も、背負いきれるかどうかの負荷の検討も大事なのだと思いましょう。

あの時~タラ・レバと後悔に苛まれてしまう時、どうぞ【情報BOX】「グリーフケア-大切な人を亡くした哀しみを癒すために」を参考になさってください。どんな状況でも、誰もが巡りあう心情なのだと理解できると、少しは助けになれるかもしれません。

「お母様の意思を尊重する」というぶれなかった思いは、きっとお母様に届いています。
ご冥福を心からお祈りいたします。くれぐれもご自愛ください。