意思を確かめる「証し」でした。

遺族アンケート

15年程前に夫婦で終身会員となりました。私の父が管に繋がれスパゲッティ状態であったことを見て来たからです。
主人は2年前、がん専門病院で膀胱ガンの内視鏡手術を受けました。その後経過を見ていましたが、去年の5月にリンパ節に転移していたことが判明しました。
その後、泌尿器科主治医から抗がん剤治療をするか、何もしないかの選択肢を示されました。80歳の年齢では強い抗がん剤は使えないとのことでした。本人が[何もしない]と[余命を尋ねない]との希望選択をしました。その選択が出来たことは、やはりこの日本尊厳死協会カードをいつもお財布に入れて、覚悟をしていたことがあったからではないでしょうか。
民間療法(温灸など)もあり、体調も良くなり、1週間の旅行をしたり友人と会ったりして普通の生活をしつつ身辺の整理もしていましたが、12月に入り息苦しさが出て来ました。診察を受けながら自宅で過ごして来ましたが、がん性腹膜炎を発症していることが判り、12月23日に病院に入院しました。その折「末期」であることを告げられましたので、主治医に「延命治療をしない」という意思表示として日本尊厳死協会カードを見せました。先生はすぐ了解しました。入院時には、この件について本人とも話し合っていました。
その後、本人としても、もう一度尊厳死教会カードの内容を確かめたかったのでしょう、私に読んでほしいと言いました。
入院後3日目までは家族と会話出来、「〇〇を持って来て欲しい」とスマホメールをする程しっかりしていました。
12月26日、4日目になると病状が急変し、医者から2度も「延命しますか?」と確かめられましたが、私は「延命しません」と答えると、「ではお子さんたちを呼んでください。耳は聞こえているので呼びかけ続けて下さい」とのこと。
息子は30分で娘は1時間で到着し、家族で手を握って見送る事が出来ました。
安らかな旅立ちとなりました。このカードが本人と家族の意志を確かなものにする[証し]だったことは間違いありません。
私も希望表明書(人生会議)も書いてあります。
これからの私の生き様と覚悟に繋がると信じております。
(長くなり申し訳ありません)

協会からのコメント

お父様の臨終の様子から、ご夫婦で会員になられリビング・ウイルについて言葉を交わされていた様子がよくわかります。健康な時と違い、病を得たあと、身に迫る変化や不安の中、その都度お二人でリビング・ウイルについて再確認できたことは素晴らしいと感じます。ご家族に囲まれ静かな最期を迎えられたことは、ご主人にとって本望だったでしょう。看取られた方には、今後の人生観・死生観に大きな恵みとなったと思われます。

臨死の際に医師から、耳は聞こえている、呼びかけてと伝えられたことは素晴らしいと思いました。いい先生です。リビング・ウイルを了解してくれた医師との出会いはほんとうに貴重ですね。リビング・ウイルに対する思いや経験は人様々です。ひとつとして同じ経験はないと思います。それだけに会員のおひとりおひとりからの投稿は貴重です。協会の力になります。今後も皆様からの参考になる投稿をお待ちしています。