京都80歳”残念な想い・・

遺族アンケート

まず一番に入院した病院が悪かったと思っています。夫の死はつらいものとなりました。夫の死期が近いことを感じましたから、本人の意思、協会の会員であることを、伝えましたが何ひとつ変化なし。医者の心感じず、苦しむ夫を見かねてリビング・ウイルを提示しましたが、その日の夜、死にました。今でもこんな病院があることに腹が立ちます。会員であることに安心がありましたが、何の役にも立たず、情けない夫の死でした。私も会員ですが、どうしたら、役立てることができるのでしょうか。
会報を読むたびに、会員でよかった、役に立ったと紹介されていますが、本当でしょうか?きっと夫のような死に方をした人も多く、いるのではないでしょうか。
死にゆく人に、検査、検査。本人は苦しかったと思います。こちらの思いを伝えたら、医者は嫌な顔をされました。妻の私が夫を軽んじていると思ったようです。あんた、ごめんね、役に立たずで。苦しかったよね、今も思い出せば苦しいのです。
・夫は糖尿病の治療を受けていました。
・死の1年6か月前に右足を失っています。夫の死が近いこと、私にでもわかりましたが、プロの医者が見落とすことがあるのでしょうか。生の終わりだからこそ、手厚く見てほしい。心からの願いです。

協会からのコメント

なんと辛い想いをされたことでしょう。「自己決定権にもとづいた医療選択の権利が保障され、尊厳が損なわれることなく生を全うできる社会の実現」を目指している協会としても残念です。奥様のやるせないお気持ちが切実に伝わってきます。

かつては医師の立場が絶対的に強く、患者家族は医療内容については医師任せでした。でも徐々に変わってきています。21世紀の今、私たち患者・家族も治療方針の決定に参加し最終決断をくだすのは患者自身だという新しい医療(患者中心の医療)の考え方が、世界の主流になりつつあります。が、①最期まで延命治療を尽くすのが「医師の使命」と考える医師も、医師としては素晴らしいのです。これまでの医学教育では『医師が治す、生かす医療』が目標とされてきたからです。

一方、患者家族に寄り添う医療(患者中心の医療)は21世紀の新しい医療の考え方です。この考えに共鳴し実践しようとする医師は、まだまだ少ないのが現状です。

人生の最終段階にこそ②「リビング・ウイルを受け容れ、患者の想いを尊重し、患者家族に寄り添う医療」をしてくださる医師を協会ではリビング・ウイル受容協力医師と呼んでいます。

確かに、私たち患者家族は受診するまで、どの医師が②の方針を持った医師なのかわからないのが実情です。受診や入院する前に、担当医師が“リビング・ウイル受容協力医師”であるのかどうかがわかれば、どれほど助かるでしょう。

協会は、リビング・ウイル受容協力医師登録医制度を設け「患者・家族に寄り添う医療を提供したい」と手を挙げてくださる医師を全国的に求める努力と、どの医師がLW受容協力医師であるのか検索できるシステム創りを、懸命に取り組み続けている際中です。
おりしも、高名な脚本家倉本聰氏から、LW受容協力医師にめぐりあえなかった友人の哀しみと怒りの投稿「そしてコージは死んだ」をいただきました。尊厳死協会では会報誌リビング・ウイルNo182号と183号に緊急提言につづく特集記事を組み、今後も広報活動を強化してまいります。

おっしゃるとおり、病院や医師の選択や、患者家族はどう対応したら良いのかに、どれほど多くの尊厳死(自然な死)を希望する会員の皆様が悩まれていることかと身につまされます。残念ながら私どもの努力が、ご主人様の時に間に合わなかった不甲斐なさを想いつつ、今後、同じ残念な想いをされる会員様を一人でも少なくできるように、努力を続けていくことをお約束します。

もしよろしければ、これからもご一緒に協会活動をお見守りいただければ有難いです。心からのご冥福と奥様のお気持ちの回復をお祈り申し上げます。