「このまま自宅で過ごしたい」という母の涙

遺族アンケート

88歳母/看取った人・娘/東京都/2025年回答

母は在宅医療に切り替える9年前から病院の血液内科でお世話になり、入退院を繰り返していましたが、どの先生も私たちの意思を尊重してくださいました。

母本人も家族も治る可能性があるなら治療を、そうでないなら苦しまないことを最優先にしてもらいました。家族として後悔がまったくなかったわけではありませんがやれることはやり切った思いです。長い間支えてくださって、ありがとうございました。

同じく尊厳死協会会員であった父は、要介護5で2年間病院に入院しての最期でしたが、母は自宅で看取ることができました。

看病する私の体調を気づかって訪問診療の先生、看護師さんたちは2~3日の入院も可能ですとお声がけくださいました。私では上手くケアできない面もあると思い、母に「入院したほうが楽になるか」と問いかけたところ、(母は息を引きとる直前まで意識がありました)「わがままかもしれないが、このまま自宅で過ごしたい」と涙ぐみました。無駄な延命治療はしないと覚悟していたので母の気持ちを受け止めこのまま在宅を選びました。苦しまなかったと言えばウソにはなりますが、延命治療をしなかったためか最期は穏やかに息を引き取りました。

年末年始を家族(私の夫、私の息子、孫)と過ごせて嬉しかったと思います。9年目を迎えた白血病の闘病中は、やはり「尊厳死」という母の意思があったことで家族も救われた面が多かったです。尊厳死協会の皆様方の活動を心から応援しております。

協会からのコメント

年にも及ぶ白血病との闘病生活、本当にお疲れ様でございました。自宅で過ごしたいというお母様の涙ぐむほどの強い思いをしっかりと受け止め、在宅での看取りを実現されたこと、心より敬意を表します。

不安もあったかと思いますが、ご家族皆様と過ごせた年末年始は、お母様にとってかけがえのない温かな時間だったことでしょう。

医療は薬や酸素、点滴、人工的な食材や機器を駆使して治療やケアを行いますが、在宅での看取りや一時帰宅は(がんに限らず)末期の患者さんのQOL(注1)(クオリティ・オブ・ライフ)の維持向上に有意義であることが、近年の研究でますます明らかにされています。

そして、その達成のために、医療や介護に携わる人々が、精いっぱい協力しサポートしていることもより多くのご家族に知ってほしい情報です。大切なのは「本人の希望と意思の表明」、そして、それを叶えたいというご家族の意思があれば、医療・介護の関係者たちはきっと尽力してくれます。まずは、希望すること。そしてお互いに、そのリスクに対する覚悟を確認し合うこと。そのプロセスの先に、QOD(注2)(クオリティ・オブ・デス)の実現が見えてくるはずです。

大役を果たされたご家族のご健康を心よりお祈りしております。

編集部注1)
QOL(クオリティ・オブ・ライフ)とは、「生活の質」や「人生の質」を指す言葉で、単にお金やモノの豊かさだけでなく、いかに心も体も満たされた毎日を送れるかという満足度を表します。

編集部注2)
QOD(クオリティ・オブ・デス)とは、人生の最終段階を、その人らしく、苦痛をできるだけ和らげながら迎えられることです。