受け入れられなかった、本人・家族の意思

遺族アンケート

100歳父/看取った人・次女/福井県/2025年回答

日本国内では、本人や家族が希望する最期の迎え方を、なかなか受け入れられないことは知っていました。福井県内に、本人や家族の希望を受け入れてくださる病院はあるのかわかりません。

父が県内のある病院に救急搬送され、入院した際、私は直接担当のドクターに治療の意思や希望を伝えました。胃ろうは拒否しましたが、結果的には鼻腔からの栄養に変わっただけで、本人や家族の意思は受け入れてもらえませんでした。

その後、別の病院に転医してからも、担当ドクターに直接話をしましたが、私たちの希望は受け入れてもらえませんでした。

病院に入院している以上、必要最低限の治療をしなければならないことは十分理解しています。また、医療を必要としないのであれば、自宅での治療(自宅介護)になることも理解しています。しかし、私自身もがんの治療を受けているため、自宅で父を介護することはできない状況でした。

父の入院を通して、考えさせられることがたくさんありました。
 ・入院すること ・手術すること ・術後の治療方法 ・治療費、入院費等(財政面) ・自分の命が終わった後の身辺整理等 

人間として生を受け、人生の最期を迎えるまで、どのように生き、どのように終えるのか。これは、とても大きな課題だと感じています。

協会からのコメント

日本の男性の平均寿命が81.35歳、女性が87.33歳(厚生労働省「簡易生命表」(令和7年))と「人生100年時代」が身近になっているなか、100歳の寿命を終えられた旅立ち。見送る側も高齢になるなか、ご本人やご家族の「必要最低限の治療のみ」というご希望が、救急搬送先の病院で十分に受け入れられなかったご無念、深くお察しいたします。

胃ろうを拒否されても鼻腔からの栄養となり、葛藤を抱えられたご経験は、現代の医療制度における終末期対応の難しさを浮き彫りにしています。

急性期病院、療養型病院、回復期リハビリテーション病院(地域包括ケア病棟含む)と病院機能が分けられ、医療従事者ならともかく一般市民の方々がそれらを周知されるのは難しいと思います。そこは、受け入れた医療者側が病院の機能を説明、患者さん本人・ご家族の意思を確認するとともに、治療についてのインフォームドコンセント注1)及びACP注2)(アドバンス・ケア・プランニング)を形だけのものとせず実践し、患者さんの意思に沿った治療、あるいは医師が提示する治療を行うか、行わないかの選択肢を示す必要があると思います。

「人生の最期を迎えるまで、どのように生き、どのように終えるのか」という重い問いかけをいただき、私どもも共に考えていかなければならないと痛感しております。ご冥福をお祈りいたします。

編集部注)
1)インフォームドコンセントとは、医療従事者が病状や治療について十分に説明し、患者がそれをよく理解・納得した上で、自らの意思で医療方針に同意するプロセスのことです。

2)ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは、もしものときに備えて、自分が望む医療やケアについて、事前に家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有するプロセスのことです。厚生労働省では、この取り組みの愛称を「人生会議」と呼んでいます。