本人に代わり、胃ろうを勧めた医師を説得
【遺族アンケート】
86歳夫/看取った人・妻/福井県/2023年回答
8月末に誤えん性肺炎になり入院しました。病気の進行もあり経口摂取が全くできなくなりました。
本人が延命治療を望まなかったので、自宅に連れて帰り、訪問診療と訪問看護を利用して約1か月で静かに息を引き取りました。苦しむことなく安らかな最期でした。
当初、かかりつけ医は胃ろうを勧めましたが、本人の固い意志「リビング・ウイル」を伝え、最後には「希望に沿うようにします」と納得してもらえました。訪問診療の医師はごく自然に、本人の意志、家族の希望を受け入れてくれました。
本人が自宅で安心して終末期を家族と過ごせて本当に良かったと思います。病院の終末期医療のあり方を考えさせられました。もっと多くの人がリビング・ウイルを理解できるよう望みます。
【協会からのコメント】
ご本人のリビング・ウイルについての固い意志が医療従事者にも伝わり穏やかな最期を迎えることができた「看取りのエピソード」です。
「かかりつけ医師は胃ろうを勧めましたが、本人の固い意志『リビング・ウイル』を伝え、最後には『希望に沿うようにします』と納得してもらえました」という言葉に着目! これは、よほどの覚悟がなければできないことです。
まず、ご本人のリビング・ウイルへの意思が明確なことが肝心です。それを受け容れ、自覚して「代諾者(医療の代弁者)」の役割を果たすために、医師に医療行為の方針をしっかり代弁して、納得してもらえるまで対話し続けられたであろう奥様の勇気を讃えたいと思います。
このような、ひとりひとりの勇気が「尊厳ある最期=幸福な看取り」へとつながるのだと思います。
「小さな灯台」は「代諾者(医療の代弁者)」の役割をしっかり果たすことの困難を理解し応援していきます。
※「小さな灯台」では「代諾者(医療の代弁者)について考える」をテーマに第2回特集を実施しています。多くの方の「体験」「ご意見」を募集していますので、ぜひ投稿をお願いいたします。