このように早い別れになるとは……
88歳夫/看取った人・妻/新潟県
<願いを受け入れられて>
平成23年12月1日、リビング・ウイルに賛同いたし「その時のために」と作成して保存しておりました。平成30年7月末に私ども二人でケアハウスに入居することになりました。その直後より主人の体調が悪化し、10月下旬に総合病院に入院となりました。その頃から主人は早い死を望んでおりました。
11月下旬に主治医の先生と息子の話し合いで、延命のための治療方針の説明もあったそうですが、主人はそこではっきりと意思を説明し拒否いたしました。先生もその意思を受け入れてくださいました。息子は東京在住ですので、12月4日に私と二人で見舞う予定にしておりました。12月2日夜中にふと目を覚ましますと、私の目の前に主人の上半身が2秒ほど現れましたので、これは主人の容体の変化に違いないと思いました。翌日午前10時頃病院に着きましたがすでに亡くなっておりました。実はこのように早い別れとは予想しておりませんでしたので驚きました。
私も息子もあまり病院に行けず、話し合う機会がなかったということが残念な思いとして現在も残っております。主人の最期の表情が大変穏やかでしたので、本人は満足だったものと解釈しております。
協会からのコメント
愛する人の「夢枕に立ち」旅立たれるエピソードは、実は良くあることなのです。よほど「自分の希望通りの最期を迎えられたこと」を満足して感謝して逝かれたのでしょう。「医療者に本人の言葉で延命治療を断り、それを息子も知っているという満足はそれほど深いものだった」と、受け止め、納得して良いのだと思います。
本人の希望を、代託者や医療・ケアに関わる関係者が理解・尊重してこその最期が良く伝わる「看取りのエピソード」です。ここにご紹介できることを「小さな灯台」の誇りとさせていただきます。どんなに満足な看取りにも“思い残し”はあるものです。【小さな灯台・情報BOX】の「悲嘆の感情(グリーフ)」を参考にしていただきつつ、ゆっくりと癒されてください。共にご冥福をお祈りしております。