総合病院を出て、長く暮らした高齢者施設での看取りへ

遺族アンケート

93歳母/看取った人・嫁/茨城県/2021年回答

87歳の時に大腿骨折のため高齢者施設に入居し、数回の転倒の後、92歳には脳に大きなダメージを受け、状態がどんどん悪くなり、本年2月から総合病院に入院(心不全などの症状)。総合病院から終末期のための病院に転院を勧められた時に、病院の担当医にリビング・ウイルのカードを提出し、長く暮らした高齢者施設での看取りとなりました。嘱託医、介護の方々にとても手厚く看護していただき、コロナで面会禁止であったものの、24時間いつでも家族の面会を許され、身近な者全員が見送ることができました。

リビング・ウイルの会員であることを理解していただき、無理な延命をすることなく、穏やかな最期を迎えられたものと思います。

入会時から家族は、無理なことは絶対にしてほしくないとずっと聞いておりましたので、迷うことなく見送ることができました。

お世話になり感謝申し上げます。

協会からのコメント

今は、総合病院(=急性期治療が主たる目的の病院)からの転院は、医療が必要な病院(療養型病院)を勧められるのが、普通のパターンになっています。

もし、リビング・ウイルという明確な意思表示がなければ、総合病院から療養型病院へと、いわゆる治療主体の入院生活が続くことになります。それが現状では「尊厳ある死」を迎えられるとは思えない実態があることは、体験者でなければ、なかなかわからないことです。終末期を住み慣れた施設に帰り、満足なケアを受けることができたのは、リビング・ウイルをご本人および、ご家族が提示し、それを病院と施設の医療ケア職・関係者に受け入れていただけたからこそ実現できた「看取りのエピソード」です。 

治療の場ではなく、生活の場である「長く暮らした高齢者施設での看取りになりました」という記述に着目! してほしいと思います。この時点で、この選択を可能にしたリビング・ウイルの存在の大きさに気付いてほしいのです。

これからの高齢・多死社会に対応していくには、こうしたリビング・ウイル受容の施設や病院との連携に、医療ケア職者たち(特に転院の時に重要な役割を果たすソーシャルワーカーやケアマネジャー等)の理解が、もっともっと進んでいくことを願わずにはいられません。