本人が嫌がってかかりつけ医をもちませんでした

遺族アンケート

85歳夫/看取った人・妻/東京都/2021年回答

お世話になります。主人は普段から嫌がってかかりつけ医をもちませんでした。主人が申し出たものですから、急きょ応診専門のお医者様をお願いしました(※)。先生が来てくださった時には自分自身で医師に体調の説明をしていましたが、急変して先生のおられるところで息を引き取りました。少し前から食が細くなっていましたので、気にはかけていたのですが、ほとんど寝込みもせず旅立っていきました。たまたま初めてお願いしたお医者様でしたので、警察が立ち合い、警察に連れて行き検査をしましたが、不祥ということで葬儀を済ませました。ある程度の年齢になったらかかりつけ医は必要だと感じましたが、本人は自分の思い通りにしましたので、多分悔いはないと思います。一家の主が亡くなると、しなければならない手続きが多く、今は悲しいとか寂しいとか思う間もなく過ごしています。ありがとうございました。

協会からのコメント

投稿からだけでは、病状や経緯がわかりにくい「看取りのエピソード」なのですが、幸いにも大きな病気をせずに過ごしてこられるとかかりつけ医をもつ機会もなく、医師嫌いというのも「リビング・ウイル」の意思表明だともいえるのでは?

かりつけ医師をもたずに「ご本人が死期を察して看取ってもらうのに医師を求め、医師の到着を待っていたかのように旅立った」いわゆるピンピンコロリの実際例です。

警察による検視はあるものの、それなりに懐の深い対処をしていただけた……これもまた「リビング・ウイル」という意思表明された人の自然な流れだったことでしょう。
「こういうこともあるのね」という「事実の紹介」という視点でご紹介してみます。

書かれているように、家族を看取った後にはしなくてはならない手続きがたくさんあります。
突然の旅立ちに、慣れない手続きなど、大変な折でのご投稿ありがとうございます。

編集部注:
かかりつけ医がいなかったため、急きょ往診専門の医師に来てもらったケースです。自治体に問い合わせる(ホームページでガイドしている自治体もあります)などすることで、往診してくれる医師を探すことは可能です。今回の事例のようにかかりつけ医をもっていない方は「看取ってもらうのに医師を求める」時に備え、事前に「イザという時、往診してくれる医師」を探しておきましょう。ただ、尊厳死協会としても全身を丸ごと診て判断してくれる総合医師や、訪問もしてくれるかかりつけ医を「看取りまでしてくれるか? リビング・ウイル受容協力医師であるかどうか」を基準に選択し、日頃から対話し関係性を育てておくことをお勧めします。