緩和ケア病棟の心温まるケア

遺族アンケート

80歳夫/看取った人・妻/東京都/2022年回答

21年検査で肺がんがわかり、担当の先生から本人に体力がないこと、手術をしても完治が難しいことなどを聞き、本人が延命はしないと決め、何も治療をしないと決め、在宅で訪問医療を受け、在宅介護になりました。その頃に尊厳死協会に入会しました。在宅で100日を過ぎた頃、訪問医から緩和ケア病棟へ入院できることがわかりました。本人も納得の上、入院いたしました。

24日後に眠るように永眠しました。コロナ禍でしたが、その緩和ケア病棟は15分と短い時間でしたが、娘・姉・弟が毎日のように面会ができ、本当に良かったです。最後の最後を私が看取ることができ、在宅医の先生、夫のことに関わっていただいた方々に感謝しています。尊厳死協会に入会し、本人はもちろん私自身も救われました。
最近、冊子で紹介されていた小池真理子さんの「月夜の森の梟」を読みました。連れ合いを亡くすことの喪失感、思い出しながら読みました。6か月の命とわかってから在宅で介護、入院でしたが、家族とも最後の別れができ、本人も満足だったと思います。緩和ケア病棟では手厚い看護を受け、80歳の誕生日には心温まるカードをいただき、四十九日過ぎにはお手紙をいただきました。重ね重ねお礼を申し上げます。

協会からのコメント

緩和ケアの流れや緩和ケア病棟での関わりがよくわかる「看取りのエピソード」です。

命の誕生を祝うカード。亡くなられてからのフォローとしての手紙もグリーフケアなのです。気にかけていますよと、伝えることが重要で、看取り看取られる人の心に何か灯をともすことになるものです。

今、全国各地で緩和ケア病棟だけでなく、介護施設や在宅訪問診療等の現場でも、看取りの場が広がってきています。多くの人々に実際の「看取りのケア」がどのようなものかを知っていただける機会と情報を「小さな灯台」は大切に伝えつづけたいと思います。

延命はしないと決めることは難しい決断だったと思います。在宅で過ごされた時間も、ご家族の支えと在宅チームの支えがあり、思い出の時間を紡がれたと思います。

ご冥福とご家族の健康を心よりお祈りしています。