生きていてほしい。それでも父の意思を守れたことが、私の救い
遺族アンケート
87歳父/看取った人・娘/東京都/2024年回答
父は末期がんではありませんでした。がんにかかったこともありませんでした。
しかし70代で脊柱管狭窄症、生体腎移植など大きな手術を受け、今後の生き方を考えた時に、「どう死ぬのか」に思いが至り、尊厳死協会に入ったようです。
母の認知症がすすみ、自宅での生活が厳しくなり2023年1月よりやむなく父も施設暮らしになりました。施設でも 万一の時の対応として、父の意思を明確に伝えられたのは、家族としては助かりました。
やはり家族はどんな形であれ、「生きていてほしい」、「延命してほしい」と思ってしまうからです。
父の体調が急に悪くなり、病院を受診してすぐに入院となりましたが、その際にも延命については、父の意思を伝えることができました。(このタイミングで、すでに父は話すことができませんでした)
先生に、「父は尊厳死協会に入っている」と伝えると、すぐに理解を示してくれました。入院から5日後に父は逝去してしまいました。直前の治療は酸素マスクだけでした。静かな死でした。もっと話したかったし、もっと生きていてほしかった思いが今もあります。とても悲しいですし、喪失感は大きいものがありますが、
「父が望んだ死に方でおくることができた」と思えることが、私の心のたった一つの救いです。ありがとうございました。
協会からのコメント
自らの死を考える」きっかけになるのは、➀自分の病気、②離婚・出産、③家族の死に出会った時、の3点だと言われます。逆に言うと、それほどの事態に出くわさない限り、人は「自らの死」について具体的にどうしようかなどとは思わないもののようです。
自身の病気をきっかけに、尊厳死協会に入会されて「個人としての意思表明」を明確にされたお父様の生き方選択はお見事だったと尊敬します。「どんな形であれ生きていてほしい」と望んでしまう大切な家族がいるからこそ、その家族の迷いと悲嘆を救うのは「本人の意思を生かすことができた」という達成感こそが、唯一の救いになり得ることを教えてくれる「看取りのエピソード」です。
大切な人を亡くす喪失の悲嘆感情は人生最大のストレスであることが、グリーフケアの研究でも明らかにされています。【情報BOX】グリーフケア―大切な人を亡くした哀しみを癒すために(2022年8月31日)もぜひご参照ください。
ご冥福をお祈りするとともに、くれぐれもご自愛ください。

