コロナ禍で見舞いもできず、会った時は死体でした
遺族アンケート
79歳夫/看取った人・妻/栃木県/2021年回答
すぐに退院してくると思っておりました。胃腸炎で入院して死亡するとは思ってもおりませんでした。私は医療従事者(臨床検査技師)で、夜勤時に連絡があり、かけつけた時には死亡してからかなり経過している(硬直が始まりかけていた)状況でした。病院側もいつ死亡したのかわからないというのが実情でした。たぶん3月5日に死亡したものと思われます。コロナ禍で見舞いもできずに、会った時には死体でした。いまだにいなくなったことが理解できずにいます。
私も夫も身近な人、職場の人等にリビング・ウイル登録をしていることを伝えております。夫は大学教員(専門は生命の起源でした)で生命についてよく二人で話し合っておりました。私は医療現場で延命措置を施されている患者様を長年みてきました。それが嫌で主人と二人で早々に入会いたしました。
この頃、KP(キーパーソン)の方が、ナチュラルコース1)を選ばれることが多いように思います。協会の地道な活動が影響していると思います。
私も一人になってしまいましたが、残る人生、ギリギリまで職場で元気に頑張っていきたいと思います。患者様のご家族や患者様ご本人とお話しする機会が多々あり、いろいろ迷っておられる方々がいらした時には、リビング・ウイルも含めてお話をしております。コロナ禍で専用病床が14床に増え、我々技師も専用病床内に1名常駐する体制となりました。感染しないよう気を付けながら、患者様をお守りしたいと思っております。
編集部注:
1) 無理な延命をしない自然で安らかな最期を希望すること
協会からのコメント
ご夫妻が共に生命に関わる職業であって、さらに尊厳死協会に共に入会し「意思ある最期」を決心していたとしても、死は“ある日突然の出来事”なのですよね。
しかも、ご夫妻が対面できた時はすでに「死後硬直がきていた時」だったという、決してあってほしくない、何ともいたたまれない「看取りのエピソード」です。
でも、だからこそ、日頃から“生命について語り合ってきた”経験が、しっかりご自身のグリーフケアに活きておられるとお見受けしました。確認になるかと思います。【情報BOX】「グリーフケア-大切な人を亡くした哀しみを癒すために」も参考になさってください。そして、「残る人生、ギリギリまで職場で元気に頑張っていきたいと思います」とおっしゃるとおり、この体験とともに、これからも医療職としてのお仕事を通してリビング・ウイルの普及にお力添えください。「小さな灯台」も、心から応援しています。