新型コロナウイルス感染症重症化に伴う措置について【協会の考え方】
協会のリビング・ウイルは人生の最終段階(終末期)を迎えたときの医療の選択について事前に意思表示しておく文書です。リビング・ウイルに書かれている「延命措置」とは、回復の見込みがないと診断され、かつ死期が近づいているにもかかわらず、人工呼吸器や透析、胃ろうなどによって生命を維持するための措置です。
従って、終末期において延命措置としての人工呼吸器装着を拒否することと、急性疾患である新型コロナウイルスの治療としての人工呼吸器装着は、根本的に異なる問題です。しかし、この原則を踏まえてなお、高齢や健康状態などの理由で、大きな苦痛や事後の合併症を伴うことが予想される人工呼吸器装着を拒否したいという希望は、尊重されて然るべきです。
病状が重症化すると、本人自ら自分の意思を直接医師に伝えるのは困難であるため、前もって家族や周囲の人に自分の希望を伝えることが必要です。自分のことではなく自分の父母など家族の措置について悩んでいる場合も、人生会議などの利用によって本人の意思を再確認し、気持ちを共有しておくことが大事です。
不幸にして新型コロナウイルス感染症に罹患し重症化した場合には、主治医にリビング・ウイルを提示しその内容を伝達して、本人の意思(たとえば人工呼吸器装着拒否、苦痛の除去などの希望)を尊重したケアを受けられるよう、医療ケアチームと相談してください。