──終末期医療を選べる社会の実現をめざしたい
理事長 北村義浩
2023年6月に公益財団法人日本尊厳死協会の理事長に就任しました北村義浩です。東京大学医学部を卒業後、30年あまりウイルス学の研究に打ち込んでまいりました。縁あって岩尾總一郎・前理事長に終末期の医療の重要性をご教示いただき、いまは在宅医療を実践しつつ本協会の発展のために活動しております。本協会が公益財団法人に認定されたのを受けて、終末期における医療が、地域や経済状況などによる格差なく平等に選択できる社会を築きたいと願っています。
コロナ禍に陥って、身近に死を感ずる機会が増えたように思います。しかし、終末期の医療についての議論はまだ十分には深まっていない印象があります。人生の終末期における医療を、私たちひとり一人の事情に応じて選べる権利は「基本的人権」のひとつです。この権利が保障される社会の実現を目指し、従来にも増して活動する所存です。従来からの協会各支部主催の講演会・サロンなどをはじめ、公共メディアでの情報発信も拡大し、これらを通じて、尊厳死の考え方とリビング・ウイルの作成の重要性を広くお伝えしてまいります。さらに悩みを抱える方々の終末期に関する相談も継続し、そうして皆さまには、人生の最期を迎えた時、「いい人生だった」と満足して逝くことのできるよう努めてゆく所存です。また、「小さな灯台」プロジェクト等を通して、逝く人も見送る人も遺された人も強くサポートしていきたいと願っています。
3年後の2026年には本協会は創立50周年を迎えます。それまでに「終末期医療権」を国民の皆さまに広く理解していただき、国会で法律に明文化されるように取り組んでいきたいと思っています。