日本尊厳死協会の設立目的

日本尊厳死協会は、1976年1月に産婦人科医で、国会議員でもあった故太田典礼氏を中心に医師や法律家、学者、政治家などが集まって設立されました。自分の病気が治る見込みがなく死期が迫ってきたときに、延命治療を断るという死のありかたを選ぶ権利を持ち、それを社会に認めてもらうことが目的です。
設立から40年以上が経ち、終末期に対する社会の認識も変わりつつあり、延命治療を望まない人が多数になっています。今後の目的は、そういった人たちにリビング・ウイルの提示という方法をお伝えすることにあります。

リビング・ウイルとは?

日本尊厳死協会は、治る見込みのない病態に陥り、死期が迫ったときに延命治療を断る「リビング・ウイル」(人生の最終段階における事前指示書)を登録管理しています。
各人が署名したリビング・ウイルを医師に提示すれば、多くの場合、延命治療を施されないことになります。
人工呼吸器や胃ろうなどによって「生かされる」のではなく、安らかで自然な死を迎えるために、元気なうちに作成する人が多いですが、病を患って自然な死を望む人が署名するケースも増えています。

その主な内容は

  • 死期が迫っていたり、意識のない状態が長く続いた場合は延命措置を拒否する
  • 苦痛を和らげる措置は最大限に実施してほしい
  • 私のケアに関わる方は、以上の2点を繰り返し話し合い、私の希望をかなえてほしい

というものです。
延命治療を中止するだけでなく、痛みや苦痛などを取り除いて安らかな最後を迎えたいと願っている人が少なくありません。
緩和医療に全力を尽くしてもらいつつ、そのような医療態勢の整備にも力を入れてもらえるよう、私たちは国にも働きかけていきます。

法制化に向けて

延命治療の中止を求めても、医療機関に受け入れてもらえないケースもあります。

医師は人の命を助けることが使命ですから、人工呼吸器を装着しないことや、それをはずしてしまうことに抵抗があるのです。さらには、医師自身が罪に問われることを懸念するためでもあります。自分の最期は、自分で決めるというリビング・ウイルの精神が生かされるためには、これらの意思を法律で認めてもらわねばなりません。結果として、医師が罪に問われることもなくなります。

国会では、超党派の議員連盟ができて法案も作成されていますが、実質的な審議にはいたっていません。私たち実質的な審議となるよう、提言・要望活動を行っています。

会員数の推移

日本尊厳死協会の会員は、設立26年目の02年末には10万人を超える団体になっております。会員の約80%が65歳以上ですが、自然な死を求める考えに共鳴して、多くの若い人たちも会員になっています。

1992年に日本医師会、1994年に日本学術会議が尊厳死を積極的に認めると公表したことは、画期的なことでした。

リビング・ウイルの有効性

2020年のご遺族アンケート結果 会報リビング・ウイル181号より